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【群馬】

「光と影と水のドラマを」ハクチョウ北帰行

「雪路、駆けゆく」=多々良沼で

写真

 県内有数のハクチョウの飛来地である多々良沼(館林市、邑楽町)で、越冬を終えシベリアに向かう北帰行が始まった。写真提供はハクチョウの撮影が趣味の同市の会社員木下英海さん(47)。「ハクチョウが恋人」と沼に日参する木下さんの今季お気に入りの二作に野鳥撮影をライフワークとし、本紙写真企画「探鳥」などを担当する堀内洋助カメラマンが批評、アドバイスした。

 ◆「雪路、駆けゆく」(1月23日午後1時5分、雪景色の中、飛び立とうとする2羽のハクチョウを中心に撮影)

 木下さんは「雪が降ったので、雪とハクチョウの白のコラボレーションを狙った」と説明する。

 【堀内】 現地では珍しい雪景色の中、飛び立つ一瞬の表情が良いです。中心の二羽はつがいで一緒に飛ぶのも愛情表現です。

 私はかわいい足の様子に注目します。一般の方が人を撮る場合もプロが五輪選手や動物を撮る時も同じで、手足の動きが写真の良しあしを決めます。美しさに愛らしさが加わりました。

 構図は、教科書的には画面右側の進行方向に空間がもう少しあれば広がりが出る、という指摘もできますがこの作品の一瞬の魅力にはかないません。木下さんのハクチョウへの優しいまなざしも感じます。

「金色に舞う」=多々良沼で

写真

 ◆「金色に舞う」(2月3日午後4時29分、夕日を背に群れ飛ぶのを撮影)

 自慢のベストショット。「ハクチョウのシルエットが影絵の様にうまく出せた」と自己評価する。

 【堀内】 文句ない素晴らしい作品です。冬の夕暮れ時、低い夕日が美しく水面もきらめいている。そこに昼間は周辺のえさ場にいたハクチョウが群れになってねぐらの沼に帰る。詩情を感じます。ドラマがあるよね。この一瞬を撮影するという意味では僕でも撮れない作品です。

 ◇ 

 「躍動感のある写真を撮りたい」「シャッターチャンスを優先すると構図がうまくいかない」というのが木下さんの課題だ。

 【堀内】 躍動感を表現するにはカメラをハクチョウの移動に合わせる「流し撮り」も効果的です。八分の一秒以下のスローシャッターで朝夕の暗い時間に飛び立つ様子を撮ると「雪路、駆けゆく」とはまた違い飛ぶハクチョウのみが浮かびあがりますよ。

 構図は気にしないで良い。「光と影」、そして多々良沼では「水」を意識しながら「一瞬」をとらえることが大切です。沼に通いつめ自分もハクチョウや太陽や沼など自然の一部だという時間を共有してゆく。すると自然はドラマを見せてくれる時がある。私は一期一会一瞬と呼んでいますが、その一瞬に出会えるのが楽しくて撮影を続けています。センスある木下さんもぜひ続けてください。

 <ほりうち・ようすけ> 1954年松山市生まれ。82年、中日新聞社(東京新聞)入社。「富士異彩」と「渡良瀬有情」取材班で新聞協会賞を受賞。本紙に写真企画「探鳥」を連載して22年目に。野鳥の種類が多い多々良沼では年間7、8回撮影し、撮影ポイントも熟知している。

 

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