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【群馬】

<志尾睦子のそふとフォーカス> (12)生みの苦しみもいとしい

スタッフの力が結集した一昨年、昨年のパンフレット。ここにまた1冊が加わるのがとても楽しみ

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 高崎映画祭初日まで二週間を切った。慌ただしい毎日がさらに騒々しくすぎていく。その要因の一つが公式パンフレットの作成にある。関わるスタッフが全員ボランティアだから、時間を見つけて皆、それぞれの作業に当たる。この制作期間がたくさん取れればいいのだが、なかなかそうはいかない。一週間くらいで全ての原稿類をまとめ、デザイナーさんに投げ込んで紙面を作ってもらう。作品のデータも含めて、すべてボランティアスタッフの手で進めていく。原稿類を入れ終わるまでも慌ただしいが、そのあとに最大のヤマ場が待っている。

 怒濤(どとう)の校正作業だ。入れた原稿に誤字脱字はないか。データに間違いはないか。表記が間違っていないか。文章はおかしくないか。膨大な映画資料と参考資料を山積みにして、確認しながら全てをチェックする。パンフレットは八十八ページ。これを数日間で完成まで持っていく。予定は未定で、確実にこの日の、この時間から校正やります、とならないから、はい今からやります集まって!となる。皆できる時に来てもらい、できる範囲でやってもらうため、八十八ページのすべてに目を通せる人はほぼいない。まさしく皆の力を結集して作り上げていく。

 私はといえば、校正が始まった段階でも自分担当の原稿を入れ終わっていない不届き者なので、誰かが校正を始めた傍らで、必死に原稿を書き続ける。皆に多大な迷惑をかけていながら大変申し訳ないのだが、この校正作業には人間性が垣間見えるので、実はとても面白く、私はこれを結構楽しんでいる。

 一番楽しいのが、各自で黙々と校正作業したものを、全体で突き合わせる時だ。車座になって自分が見つけた修正点を挙げていく。遠慮されては校正にならないのだが、つい遠慮してしまう人。誰よりも先に校正箇所を指摘しようと勇む人。事実以上の何かをかならず付け加えて話そうとする人。得手不得手だけでもなくそこには人柄も出て来るから面白い。真剣な校正の場なので、意見がぶつかることもあるが、時に大笑いしながら進めることもある。

 文字だけでなく、レイアウトのささいなズレを見つける人がいたり、神経衰弱のように散らばった修正点を的確に言い当てられる人もいる。そんな時は感嘆の声が上がったり、拍手が巻き起こったりする。そうやって作り上げたパンフレットは、やっぱり毎年いとしい宝物になる。

 今年も怒濤の校正作業をくぐり抜け、なんとか印刷屋さんに回すことができた。あとは無事に生まれてきてくれることを待つばかりだ。 (シネマテークたかさき総支配人)

 第1、第3、第5日曜日に掲載します。

 

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