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【群馬】

赤ちゃんポストの立ち上げに携わった田尻さん 前橋で講演

「群馬にも質の高い相談窓口を」と訴える田尻さん=前橋市で

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 親が育てられない乳児を匿名で受け入れる熊本市の「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」の立ち上げに携わった慈恵病院の元看護部長で、助産師の田尻由貴子さんによる初めての講演会が18日、前橋市第二コミュニティセンターで開かれた。田尻さんは「思いがけない妊娠の相談窓口から見えてきたもの 本当に必要な支援のあり方とは」と題し、乳児の生死を巡る現場での経験を証言した。 (原田晋也)

 ゆりかごは二〇〇七年に開設し、十年間で百三十人が預けられた。父母などの居住地は不明が24%、熊本県内が8%、熊本県内以外の九州が24%。関東も17%いた。ゆりかごを利用した理由(複数回答)の主な内容は「生活困窮」が三十四件、「未婚」が二十七件、「世間体など」が二十五件だった。

 中には、赤ちゃんを一度ゆりかごで預かった後に家庭へ戻したが、母子が無理心中で死亡した痛ましい事例があった。保健師が新生児の生まれた家庭を訪れる「赤ちゃん訪問」の二日後に、母親が子どもをゆりかごへ預けに来た事例もあったという。田尻さんは「お母さんの心理状況を見抜けなかったのかと悲しくなった」と振り返り、関係機関が相互連携や保護者の精神的ケアなどを重視するように訴えた。

 同病院では、妊娠と出産に特化した二十四時間体制の電話相談「SOS赤ちゃんとお母さんの相談窓口」も受け付けている。ゆりかごが報道で取り上げられたことで、全国から相談が来るようになり、件数は一六年に六千五百六十五件と、十年前の十倍以上になった。熊本県外からの電話は83%に上る。

 思いがけない妊娠に関する相談が多く、妊娠しているにもかかわらず病院を未受診と分かり、職員が同行して受診させた事例や、相談する相手がいないまま破水して「生ぬるい水が流れた」と訴えてきた緊急性の高い電話もあったという。

 田尻さんは「今の日本社会はまだまだゆりかごがシンボルとして必要。群馬県でも、本当に相談しやすく、命を守る質の高い相談窓口ができることを願っている」と期待した。

 講演会は県助産師会が主催し、県内各地から関係者約二百人が来場。鈴木せい子会長は「まだ検討段階だが、(電話相談窓口の)妊娠SOS群馬ができればいいと思う」と話した。

 

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