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【群馬】

「悲しみの先の希望伝えたい」 日航機事故遺族が歌を制作中

夫正勝さんが植えた柿の木の前に立つ谷口真知子さん。右は歌手北川たつやさん=大阪府箕面市で

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 「悲しみの先に希望があると伝えたい」。一九八五年の日航ジャンボ機墜落事故で夫を亡くした大阪府箕面市の谷口真知子さん(70)が、長い時間をかけて立ち直った自身と息子を題材にした歌の制作を進めている。命日である今年八月十二日までの完成が目標。歌作りに生かそうと今月二十九日には作詞作曲を担当する歌手北川たつやさん(32)と現場の御巣鷹の尾根(上野村)に登る。

 優しく、子煩悩だった夫正勝さん=当時(40)。谷口さんの手荒れを心配して毎晩布おむつを洗い、ビールで晩酌すると息子二人に「うちの子は世界一だ」と語り掛けた。墜落直前、機内で備え付けの紙袋に「子供よろしく」と書き、ズボンのポケットに入れた。谷口さんはこの遺言を支えに、十三歳と九歳だった息子二人を育てた。

 二〇一六年、正勝さんが生前、自宅の庭に植えた柿の木の成長に励まされて笑顔を取り戻す家族を描いた絵本「パパの柿の木」を出版。小中学校で読み聞かせ会を開く中、「児童と一緒に歌うことでも思いが伝えられないか」と考えるように。

 昨年十一月、息子が卒業した箕面市立東小の創立五十周年記念式典で、同じく卒業生である北川さんのコンサートを鑑賞。歌声に胸を打たれた。北川さんが事故の起きた年に生まれたことに縁も感じ、協力を依頼した。

 北川さんは東日本大震災の被災地を訪れ、支え合う人々をテーマにした歌も作っている。既に正勝さんの写真を見たり谷口さんの思いを聞いたりしており、悲しみを乗り越える家族を父親の視点で歌詞にする予定だ。御巣鷹に登るのは初めて。「事故の衝撃や空気を感じたい。小学生が合唱できる平易なメロディーにしたい」と意気込む。

 谷口さんは「何でもない日常が一番大切だと、失ってから気付いた。そのことを歌の力で伝えられれば、夫も喜ぶと思う」と話している。

 

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