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【群馬】

<志尾睦子のそふとフォーカス> (16)押してダメなら引いてみろ

パンの焼き目の出来で一日の気分も変わる。月兎印の赤いポット、iittalaのプレート、CERAMICLAB.のマグは誕生日のプレゼントにいただいた

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 朝食のアイテムにパン焼き網が加わってからの私は毎朝がさらに楽しくなった。焦げてもおいしいのだからなお幸せ。とはいえ、きれいにこんがり焼くにはどうしたらいいのだろうか。

 ボワッと火がついたと思うと、カチッと音がして火が消える。これを数回繰り返しながらパンを焼く。

 一枚だからダメなのかも、と二枚敷き詰めてみたり、パンの種類をかえてみたりしたけれど、ボワッ、カチッ、を止めることはできない。セラミックの板と網は別々のものなので、一緒に固定して、じか火に当たらないように自分であぶってみたらいいのかとか、いろいろ試してみたけれど、どうも理想のこげ色にはならない。

 パン焼き網の使用例を見ても、やはり普通にコンロにのっている。先日もテレビで同じパン焼き網が使われていたけれど、自宅のコンロと何も変わらないように見えた。さてどうやったらいいのだろうと考えあぐねる。

 これだけのために、昨年出番のなかった石油ストーブを引っ張り出そうかとも考えたけれど、それは来シーズンにとっておこうということにして、とりあえずはコンロを制覇する方法を考えてみた。

 センサーに当たらないように浮かせればいいんだと思って、餅焼き用に使い古した足つきの網を棚の奥から引っ張り出す。餅焼き網をコンロに置いてその上にパン焼き網。われながら良い考えだと思ったけれど結果は同じ。むしろ、長年使っていた餅焼きの網のこげがじか火にさらされて火が上がってしまって驚く始末。

 試行錯誤の数日後、「押してダメなら引いてみな」という母の声が頭をよぎった。子どものころ、何かうまくいかない時に、母によく言われた言葉だ。もちろんパン焼き網を押すわけではない。一方向で考えるからダメなのかもしれないと思い当たる。パン焼き網は真四角。手前に持ち手がある。下を支えるセラミック板を挟んだ部分は持ち手側に引っかかるように逆足がついている。この向きを九〇度変えて置いてみた。

 するとあら不思議! なんと火が消えなかったのである。理屈は全くよくわからないのだけれど、「押してダメなら引いてみな」戦法は私にこんがりと奇麗な焼き上がりという勝利をもたらしてくれた。この日のパンのとてつもなくおいしかったこと! いやはや、お母さん。またこんなところであなたの教えが役に立ちました。感謝。 (シネマテークたかさき総支配人)

      ◇

 第1、第3、第5日曜日に掲載します。

 

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