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【群馬】

「今村司令官と10万人のサバイバル」 桐生の岡田さん新著 

新著を持つ岡田さん=桐生市で

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 桐生市広沢町の執筆業岡田幸夫さん(70)が、太平洋戦争中に南太平洋のラバウル基地で、補給が絶える事態に備えて現地での自給自足体制を整えた故・今村均陸軍大将の事績をまとめた著作「ラバウル 今村均軍司令官と十万人のサバイバル」を出版した。(原田晋也)

 ラバウルは日本の約五千キロ南に位置するパプアニューギニアの都市。一九四二年に旧日本軍が占領して基地を置き、旧陸・海軍計約十万人が配置された。

 当時の今村司令官は直接の戦闘による死者を上回る餓死者を出し「餓島」と呼ばれたガダルカナル島の戦いを教訓に、着任直後から食料確保に取り掛かった。

 基地周辺のジャングルを開墾してサツマイモやトウモロコシを栽培。鶏を飼い、ラッカセイで代用みそを仕込み、ヤシやイモから酒まで造った。今村司令官自ら朝一番に畑に立ってくわを振るったという。

 四四年二月には懸念通りラバウルは完全に孤立し補給が絶えたが、終戦時にも多数の兵士が自給自足生活を送っていたとされる。

 著作では、ラバウル基地の自給自足の取り組みを中心に、人物像や、自ら環境の悪い南洋の刑務所行きを希望した戦犯としての生き方などを記した。

 岡田さんの著作は今回が十二冊目。長年勤めた会社を退職した十三年前に執筆活動を始め、これまでに農業や地域史、人物評伝など多彩な著作がある。戦中派の父親の影響で元々昭和史に興味があり、東北大の学生時代から今回のテーマに関心を持っていたという。

 下宿していた仙台市の寺の住職がガダルカナル島の戦いで生き残った元兵士で、戦争の話をする際に今村司令官には一目置いていた。今村司令官本人の回顧録など、さまざまな資料に当たるうち、岡田さんも今村司令官の人柄に興味を持ったという。岡田さんは「先見の明があるかないかで、十万人の命が変わってしまうリーダーの責任の重さ感じた」と語った。

 千五百円。問い合わせは出版元の郁朋社=電03(3234)8923=か、岡田さんが運営委員の桐生歴史文化資料館=電0277(46)7246=へ。

 

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