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【群馬】

ようこそ粘菌の世界へ 富岡の新井さん 児童向け写真絵本出版

写真絵本「もりのほうせきねんきん」を出版した写真家新井文彦さん=富岡市で

写真

 森の倒木や地中にすむ不思議な生き物、粘菌(変形菌)を撮り続けている富岡市の写真家新井文彦さん(52)が児童向けの写真絵本「もりのほうせき ねんきん」(ポプラ社)を出版した。新井さんは「『変な生き物がいるぞ』という気付きから、森についていろいろなことに興味を持ってほしい」と話す。

 「ああ、いました」。五月下旬、富岡市の山道で新井さんが突然、大声を出した。廃棄されたシイタケのほだ木には直径一センチもない丸いピンクの物体。マメホコリと呼ばれる粘菌だ。周囲をじっくり観察すると黄や白の粘菌も見つかった。

 粘菌の写真を約四十万枚撮影してきた新井さん。「いまだに見つけるとうれしくて叫んでしまいます」と笑顔を見せる。

 粘菌は、ねばねばした姿で動き微生物を食べる「変形体」が粒状や球状などさまざまな形の「子実体」に変身し、胞子を放出して子孫を残す。動物でも植物でもないアメーバの仲間で、生態は謎の部分も多い。日本に約五百種いるとされ、子実体の大きさは多くが数ミリから一センチほどだ。

 新井さんによると、最近は会員制交流サイト(SNS)に写真を投稿する人が若い女性を中心に増え、静かなブームになっているという。

 新井さんは二〇〇七年ごろ、北海道の阿寒湖周辺の原生林でマメホコリに気付き、見た目の美しさに引き込まれた。毎年六月〜十月末は北海道に滞在。森で連日、粘菌に迫る。はいつくばって撮影すると、草の匂いを感じる。見上げる木々の大きさに圧倒もされ、別世界にいる感覚だ。夢中になり過ぎてヒグマがそばまで来ていることに気付かなかったこともある。

 出版した写真絵本は小学校低学年向け。阿寒湖周辺や長野県の菅平高原で撮影した色とりどりの粘菌を掲載し、平易な文章で不思議な生態を紹介している。三十五ページでオールカラー、千五百円(税別)。

 

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