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【群馬】

<ダミアン・ロブションのBONJOURぐんま> (30)最強の日仏縁結びスポット

運命の門を開いてくれた富岡製糸場

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 光陰矢のごとし。本日はなんと、最終回の三十回目を迎える。今回、富岡製糸場が私にもたらしたものを中心に、読者の皆さんへの感謝を込めつつ、この連載をしめくくりたい。

 富岡製糸場は、百四十五年ほど前にポール・ブリュナの指導のもとで設立された。今、ここ富岡の地で明治初期に蒔(ま)かれた日仏交流の種から花を咲かせる仕事に携わることができて、本当に幸せだ。こうした時空を超えた「絹が結ぶ縁」が復活したおかげで、おとぎ話とも言える「運命の物語」も生まれた。

 富岡製糸場創業時に繰糸鍋などを調達したフランス南東部アン県にあるセルドン銅工場は、操業停止後は昔ながらの作業風景を紹介するフランス国内でも珍しい産業遺産として一般公開されていたが、不況のため二〇一〇年に休業を余儀なくされる。一七年、両施設を結ぶ不思議な縁に感銘を受けたアン県議会は、長年放置されてきたセルドン銅工場を県営の目玉観光施設として活用しようと、本格的な整備に乗り出した。この話を聞くと、誰もが感動し、そして富岡製糸場が秘める普遍的なパワーのようなものを実感するだろう。

 群馬のことを知ることができたのは、第一希望の就職先だった富岡製糸場のおかげだ。世界遺産に登録される最高の瞬間を見届けるというチャンスにも恵まれた。豊かな自然や歴史が育んだ山々、神社仏閣、温泉や食文化を満喫するきっかけにもなった。

日仏交流の証しが飾られたセルドン銅工場(フランス南東部)

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 義理人情に厚い県民との出会いも印象深い。富岡が私にとってかけがえのない「第二の故郷」となったのはなんといっても、富岡で生まれた妻によるところが大きい。「かかあ天下」の土地柄のせいなのか、フランス人女性のようにしっかりしている。彼女にめぐり会えたことはとても幸運だった。そう、富岡製糸場はまさに、日本とフランスをつなぐ最強の「縁結びスポット」かもしれない。

 連載を通じて、群馬はもちろん、母国フランスの魅力と特徴を改めて見つめ直すことができた。読者の皆さんも日々の暮らしの中に眠っている故郷の素晴らしさを再発見してみてください。そして、「フランスをいつか訪れてみたい」と少しでも思っていただけたら幸いです。一七年四月から「ダミアン・ロブションのBONJOURぐんま」にお付き合いいただき、心より感謝申し上げます。 (富岡市国際交流員) =おわり

 

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