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【群馬】

群大病院 手術死問題初会合 医療推進委「なぜ非公開」

記者会見する遺族会の木村豊代表(中)。両側は弁護士=前橋市の群馬大病院で

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 前橋市の群馬大病院で肝臓の腹腔(ふくくう)鏡手術などを受けた患者が相次いで死亡した問題で、二十二日に群大で遺族らが参加して初めて開かれた医療推進委員会では、遺族が委員会の一般公開などを求める要望書を群大へ提出した。終了後に二人の遺族が記者会見し、この日の委員会が非公開だった点に厳しく注文を付けた。 (菅原洋)

 「隠さなくてはならない話ではないはず。密室の中で話をするべきではなく、そこで何か決めてもそのままになるかもしれない」

 遺族会代表で父の貞治さん=当時(80)=を亡くした市内の会社員、木村豊さん(49)はこう指摘した。

 同じく代表で妹の美早(みさ)さん=当時(25)=を奪われた市内の会社員、小野里和孝さん(38)も「(この問題で第三者の委員会が群大へ提言した報告書などで)群大の閉鎖的な体質が指摘されてきた。そこから脱してほしい」と同調した。

 報告書では、患者の家族に手術前に十分に説明して同意を得る「インフォームドコンセント」が不十分で、家族への情報公開がおろそかになった経緯や、閉鎖的な群大の組織や医師の体質を問題視している。

 要望書ではまず、委員会の会議を一般公開し、議事録の全文を群大のホームページに掲載することを要請。「公開が否定されるのであれば、真の『全』患者参加型医療にはほど遠いと言わざるを得ない」と強調した。委員会を少なくとも年四回は開催することなども挙げた。委員会には遺族二人に医師や看護師ら計十六人が出席した。

 委員会に続き、遺族二人は医師や看護師ら計約百二十人を前に非公開で講演。木村さんは父の診療経過の疑問などを振り返り、小野里さんは群大の看護師だった妹を職場で亡くした複雑な心境を伝えたという。

 講演後の記者会見で、木村さんは「信頼の置ける病院に近づいてほしいと講演した。ただ、患者参加型は一気に進むものでもない」と指摘。小野里さんは「手術の当時、疑念を抱きつつも、妹がお世話になった病院へ言いたいことが言えなかった。病院からきちんと説明があったら、そうならなかった」と苦しい胸の内を打ち明けた。

 遺族に続いて田村遵一院長が記者会見し、要望書について「いい提言をいただいた。やり方に工夫が必要だが、議事録の公表は近日中にホームページに出したい。次回の会議は二、三カ月後にはやりたい」と明言した。

 委員会を報道機関などに公開することは「秘密で開くことはないが、技術的にどうしたらいいのか。報道機関が傍聴できる方向性はそれでいいので検討する」と述べるにとどまった。

◆診療報酬返還で陳謝

 一方、群大は約一カ月前、以前に今回の問題で取り消され、診療報酬の優遇などがある特定機能病院の承認申請書を厚生労働省へ提出した。

 ところが、群大は三月、二〇一四年度までの五年間に延べ約七十四万件の診療行為で不正や不当に受け取った診療報酬の総額約十三億四千五百万円を返還すると発表。この中には、肝臓の腹腔鏡手術を受けた患者が相次いで死亡した今回の問題の診療も八人分含まれている。

 記者が「特定機能病院の申請が早過ぎるのではないか」とただしたのに対し、田村院長は「特定機能病院の申請と、診療報酬(の返還)は関係ないとは言わないがこれだけ巨額になったのは遺憾だ。世間にとんでもないご迷惑をかけ、おわびするしかない」と陳謝した。

 

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