東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 群馬 > 記事一覧 > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【群馬】

縄文人の知恵「水場遺構」出土 東吾妻町の唐堀遺跡 完全な形、県内初

湧き水をせき止めて木の実を加工した遺構=いずれも東吾妻町で

写真

 県埋蔵文化財調査事業団が発掘調査している東吾妻町の唐堀(からほり)遺跡で、縄文時代後期(四千四百〜三千年前)に湧き水をせき止め、トチやクルミの実を浸して食べやすいように加工した「水場遺構」が出土した。縄文時代の水場遺構が完全な形で見つかったのは県内で初めて。出土した木の実の殻は十トントラック二台分と推定され、県内では最多の量となる。東京大大学院の設楽博己(したらひろみ)教授(考古学)は「水場遺構が全体的に残っていたのは重要な発見」とみている。 (菅原洋)

 二十九日に現地を報道機関に公開した事業団によると、調査は二〇一五年度に上信自動車道の建設に伴って吾妻川の近くで開始。一六年度に水場遺構の一部が出土し、今年六月からの発掘で遺構全体が残っていることが判明した。

 遺構は湧き水の流れに沿った長さ約三十メートル、広さ約二百平方メートル。その中に水をせき止めた約二メートル四方の水ため場や、幅一・五〜二メートル程度の導水路がある。

 水ため場周辺からは木材と固定用のくいが数個ずつや、大きな石が多数出土し、水を木や石で囲ってせき止めたとみられる。

 縄文人はトチを主食の一つとし、保存食でもあったが、あくが強い特徴がある。このため、水ため場にトチを入れて流水であくを抜いたという。クルミは流水で殻を軟らかくし、割りやすくしたと考えられる。

 水ため場の下流からは、大量の殻が残存した捨て場も出土。一帯の豊富な地下水が「真空パック」のような役割を果たし、腐らなかったとみられる。県内には縄文時代の部分的な水場遺構が五カ所あるが、殻の量は最も多いという。

 今年に二回現地入りした設楽教授は取材に「縄文人は狩りのイメージが強いが、それだけではなく、木の実を知恵を絞ってシステム的に加工していたことが分かる。多い水分で殻などの保存状態もいい貴重な遺構」と分析している。

 事業団の関口博幸主任調査研究員は各報道機関に「縄文人が食物をどのように加工していたか、その技術を知ることができる遺構」と説明した。

出土したクルミ(右)やトチの殻

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報