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【茨城】

<ひと物語>雷を追い続け9年 「国内唯一」のプロのストーム・チェイサー 青木豊さん(48)

写真

 気象庁がネットで公開している気象レーダーを見つめ、強い降水域を示す場所を目指し、車を走らせる。積乱雲の発生場所に先回りして、待機する。黒い雲に覆われて辺りが暗くなり、突風が吹き抜け、雷鳴がとどろくと、愛用のカメラを構え、シャッターを切る。

 「自宅で、たまたま発生した雷を撮影して、最初に撮った一枚に稲妻が写っていたのがきっかけ。それから雷のとりこになった」。雷を追い掛けて九年。撮影には危険が伴い、時には、ずぶぬれになりながら写真を撮り続ける。

 活動範囲は自宅のある筑西市を中心に半径三十キロほどで、北は宇都宮市から南は土浦市まで。日光連山の上空で発生した雷は、宇都宮市、真岡市(栃木県)、筑西市と南下してきて、自宅周辺は「日光雷」の通り道に当たっている。四月から九月までが雷のシーズンだ。七、八月のピーク時は、月半分ほど車を走らせ、積乱雲の発生を待ち受ける。

 「実際に先回りできても、雲が別の場所に移動したり。運良く雷が発生するのは三割程度。うまく撮影できたと思えるカットもワンシーズンで数枚しかない。これも自然が相手ですから」。撮影した写真は、ネットで公開し、依頼を受けて、テレビ局や雑誌、大学など研究機関にも提供している。

 雷を追い続けるうちに、雲の発生メカニズムなど、気象全般についても学んだ。竜巻を起こすような極度に発達した積乱雲「スーパーセル」やゲリラ豪雨など局地的な現象。被写体を知ることで、撮影の幅も広がった。

 日本語に直訳すると「嵐の追跡者」と表現される「ストーム・チェイサー」。竜巻や雹(ひょう)、雷など激しい気象現象を追跡し、観測データを収集したり、撮影したりする人たちを、こう呼ぶ。竜巻が多発する本場・米国では数千人が活動していると言われる。

 「雷には自然が本来持っている力を感じる。趣味で撮影している人はいると思うが、国内でストーム・チェイサーのプロとして続けているのは、おそらく私一人。先駆者として自負もあるが、記録を残すことが私の役割の一つ」

 昨年三月、「ストーム・チェイサー 夢と嵐を追い求めて」を出版した。自伝と写真集を合体させた一冊。ストーム・チェイサーの認知度を高めるため、テレビなどメディアにも積極的に登場している。 (原田拓哉)

 <あおき・ゆたか> 1968年3月、筑西市生まれ。県立結城一高を卒業後、フリーターをしていたが、26歳の時に祖父の代から続いていた写真店を継いだ。レストランのメニューや会社のパンフレット、集合写真など商業写真を撮影していたが、36歳で店を畳む。現在、フリー写真家として気象や自然風景を中心に撮影。雷についての講演の依頼も数多い。

 

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