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【茨城】

増え過ぎたコブハクチョウなど 「偽卵」で減らせ

石こうでできた偽卵=水戸市で

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 水戸市は、市内の千波湖と大塚池で繁殖し、増え過ぎた野鳥のコブハクチョウとコクチョウを減らすため、産んだ卵を石こうで作った「偽卵(ぎらん)」にすり替える繁殖制限に乗り出した。昨冬、鳥インフルエンザによりコブハクチョウとコクチョウが減ったことから、これを機に市で個体管理できるようにする。環境省などによると、偽卵は害鳥のカワウの駆除に使われてきたが、コブハクチョウでは初めてという。成功すれば、他の自治体の参考になりそうだ。 (山下葉月)

 千波湖のコブハクチョウは一九七〇年、滋賀県彦根市から贈られたつがいが繁殖したもの。幕末、江戸幕府の大老で彦根藩主の井伊直弼が「桜田門外の変」で水戸の脱藩浪士らに暗殺されるなど、幾多の因縁がある両市の「友好の証し」だった。コクチョウは山口県宇部市から贈られ、産卵を繰り返して増えた。日本野鳥の会によると、いずれも渡りをしない外来種で、人為的に国内に入ってきた。

 市は「湖のシンボル」として定着させるため、八〇年代前半まで、飛べなくする「羽切(はねきり)」を実施していたが、市民の批判を受けて中止した。その後も数は増え続け、昨年十一月時点で市内にコブハクチョウは五十一羽、コクチョウは九十三羽が生息していた。

 昨年十二月、市内で見つかったオオハクチョウの死骸から鳥インフルエンザウイルスが検出されたのを皮切りに、今年一月までに、千波湖を中心にコブハクチョウ三十羽、コクチョウ十四羽など計五十六羽の野鳥の感染死が確認された。環境省は湖から十キロ圏を「野鳥監視重点区域」に指定、予定していた新年イベントは次々と中止に追い込まれた。

 三月に指定が解除され、事態は終息したものの、市は今後、コブハクチョウなどを感染源に鳥インフルが拡散し、近隣の養鶏農家が飼育している鶏が感染することを懸念。数が減ったのを好機と捉え、管理に乗り出した。

 偽卵の大きさは縦十センチ、幅五センチほどで実際の卵とほぼ同じ。色は塗らず、白いまま。市公園緑地課によると、偽卵を抱かせて親鳥を落ち着かせれば、新たに産卵することを防げるという。巣にある卵をこっそり偽卵とすり替える。市は「日本野鳥の会茨城県」に委託し、十八日までに湖畔など七カ所の巣から三十一個の卵を回収した。卵は焼却処分する。

 環境省などによると、山梨県はアユの稚魚を食べるカワウを減らすために偽卵を使って繁殖制限に取り組んでいる。

 NPO法人「バードリサーチ」(東京都府中市)によると、鳥類の中には、偽卵に気付き、捨ててしまう種もいるという。高木憲太郎研究員は「カワウは偽卵を排除しないが、コブハクチョウとコクチョウの事例は分かっていない。水戸市が試す価値はあると思う」と話した。

 

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