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【茨城】

<ひと物語>体と風が一緒になれる デフリンピック陸上の日本代表・設楽明寿さん(23)

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 「コミュニケーションが難しく、孤独な聴覚障害の中高生のためにも、彼らのモデルになりたい」。トルコで今月十八〜三十日に開かれる聴覚障害者のスポーツ世界大会「夏季デフリンピック」に、陸上400メートルリレー日本代表として出場する。

 パラリンピックでは、聴覚障害者の競技は実施されていない。デフリンピックも四年に一度の開催。今大会には、世界百九の国と地域から約四千五百人が参加し、日本からは約百人が出場する。

 生まれつき耳がほとんど聞こえず、特別支援学校に通っていた。しかし、「耳が聞こえない人ばかりの環境でいいのか。いろいろな人がいる環境に早く慣れたい」と、小学三年で普通校へ転校した。

 小学五年の時、地元の大会で50メートルハードルに出場し、陸上競技に興味を持った。中学から部活動で本格的に始め、高校では強豪校の陸上部に所属した。

 種目は100メートルと200メートル。「速く走れば、体が風と一緒になれる感覚が魅力」という。現在は、視覚や聴覚の障害者向けの国立筑波技術大に通いながら、練習を続けている。筑波大の陸上同好会にも参加。週に四、五日、一日に二、三時間の練習に取り組んでいる。

 短距離走でも、聴覚障害のハンディはある。「耳が聞こえれば、自分の足音の質やリズムで、走りの良しあしが分かるという。自分には分からないから、できるだけ第三者に見てもらい、指摘を受けるようにしている」

 大学四年の昨年六月、聴覚障害者の世界陸上選手権で、400メートルリレー日本代表の補欠に選ばれた。「補欠で出場できず、悔しかった。実力に見合っていなかったかもしれない」と振り返る。

 今年三月には、今回のデフリンピックの400メートルリレーで、正規メンバー入りを果たした。六月には100メートルで11秒15を記録し、自己ベストを更新した。

 「初めての国際大会出場だけど、プレッシャーに負けず、自分らしい走りをしたい。体の大きい外国の選手たちを抜くことができるか楽しみ」。金メダルと世界新記録が目標だ。 (宮本隆康)

<したら・あきひさ> 1994年、群馬県吉井町(現・高崎市)生まれ。東京農業大第二高(高崎市)を卒業後、国立筑波技術大の産業技術学部産業情報学科に入学。今年4月から、大学院で産業技術学を専攻している。つくば市在住。

 

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