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【茨城】

<ひと物語>「笠間いなり寿司」普及に取り組む 沼田淳二郎さん(75)

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 「味もトッピングもいろいろ。それぞれの店が工夫をして、自分の味を出している」。笠間市の笠間稲荷神社前にある手打ちそば店「柏屋」の三代目。神社の名称にちなんだご当地グルメ「笠間いなり寿司(ずし)」を広める「いな吉(きち)会加盟店会」の会長として、十年以上にわたり、元気にPRを続けている。

 ご飯の代わりに蕎麦(そば)が入った「そばいなり」、いって味付けしたクルミ入りの「胡桃(くるみ)いなり」、菜の花のからしあえの「菜の花いなり」−。油揚げで包むことを共通項に、バラエティーに富んだ笠間いなり寿司は今、市内の加盟店十四店で販売している。「参拝のついでに食べ歩きも楽しんでもらえれば」

 いなり寿司を通じた街の活性化の取り組みは、二〇〇六年にスタートした「笠間いなり寿司コンテスト」が始まり。全国からレシピを一般公募し、中学生以下から大人まで三部門で入賞作を決める。入賞作は採算などを勘案しながら、加盟店会が商品化する。

 コンテストは、市職員らのボランティアでつくる「笠間いなり寿司いな吉会」が主催している。いな吉会は、全国のご当地グルメの祭典として知られる「B−1グランプリ」への参加も続けている。プロの料理人でつくる加盟店会が、その成果を街の活性化につなげる。

 入賞作で思い出深いのは、母の故郷だった笠間市に小学一年生まで疎開していた歌手の故・坂本九さんにちなんだ「九ちゃんいなり」。坂本さんのヒット曲「上を向いて歩こう」が米国で「すき焼きソング」と呼ばれていたことをヒントに考案された牛すき焼き入りの一品だ。今でも、市内のイベントなどの際に柏屋でつくり、販売している。

 一八九二(明治二十五)年に創業した老舗を二十三歳で継ぎ、半世紀以上、そば屋を営んできた。近年は、マイカーの普及などで宿泊客や長時間、市内に滞在する客が減り、にぎわいを見せる秋の菊祭りの季節でも、「往時の三分の一ぐらいかな」。一方で、門前通りの石畳の整備は前年度、完了し、通りの空き店舗には五店が出店した。「インターネットを使うなど、若い人たちはアイデアもある。街も変わっていくね」と、将来に期待を寄せている。

 十二回目を迎える今年のコンテストは十月七日、笠間芸術の森公園で開かれる。九月八日までレシピを公募している。笠間市のホームページ「最新情報一覧」からダウンロードできる。 (酒井健)

<ぬまた・じゅんじろう> 1941年10月、笠間市生まれ。笠間稲荷(いなり)神社前にあるそば店「柏屋」代表。笠間飲食店組合長などを務めた。2012年、笠間いなり寿司の普及を図るために飲食店15店で結成した「笠間いなり寿司いな吉会」加盟店会の初代会長。

 

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