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【茨城】

構想12年、夢の絵本 東海村の脳性まひ詩人が体験基に出版

日立市の担当者に、笑顔で絵本を渡す藤枝さん(左)=日立市で

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 脳性まひで重度の障害がある詩人、藤枝利教(としゆき)さん(46)=東海村=が、自らの体験を基に編んだ絵本「3粒のぶどう家族」を出版した。フェイスブック(FB)上でつながった支援者の協力を得て、長年の夢の絵本づくりを実現させた。10月14日につくば市内で朗読会も開く。藤枝さんは「希望を持つことの大切さを感じながら読んでもらいたい」と喜んでいる。  (山下葉月)

 「ボクだって本当はお父さんたちに愛されたいんだよ〜! 家族なのに、気持ちがすれ違うのは嫌だよ」

 絵本の一場面で、主人公のブドウの「アオシ」は、父のブドウに自らの気持ちを吐露する。

 物語のテーマは「虐待」。見かけがよくない「アオシ」は父から暴言などの虐待を受け、母ブドウも見て見ぬふりを続ける。しかし「アオシ」が勇気を出して友人に相談したことがきっかけとなり、親子三粒のブドウは最後に絆で結ばれる。藤枝さんは巻末で「私の少年期の虐待がもとになっております」とつづる。

 生まれながらの脳性まひで手足や口が不自由な藤枝さんは、二十四時間体制でヘルパーの介助を受けながら車いすで一人暮らしをする。会話では、ヘッドギアにつけた棒を使ってキーボードを入力し、文字を音声に変える補助装置を使う。

 同級生にからかわれたことがきっかけで、十七歳の時に詩作を始めた。絵本づくりにも挑戦したいと考え、十二年前から今回の作品の構想を温めてきたが、絵の描き手が見つからないことや資金難などから、かなわずじまいだった。

 FBを通して知り合いとなった画家の野歌(のうた)つぐみさんや仲間は、藤枝さんの夢に共感してプロジェクトチームを発足。ネットで寄付を募るクラウドファンディングで百万円超の制作費を集め、野歌さんが絵を担当して完成にこぎ着けた。

 出身地である日立市の子供たちに読んでもらおうと、藤枝さんは八月、市立助川中を訪れ、計五十部を寄贈。市内の小中学校や図書館で読めるようになるという。キーボードを駆使して「とてもうれしいです。みなさんに見ていただきたい」と話し、笑顔をみせた。

 絵本は朗読CD付きで一冊千二百円(税別)。三百部作製した。完成記念の朗読会を九日午後一時から、東京都中央区のライブハウス「MADEIRA(マデイラ)」で開く。また、つくば市の市民ギャラリーでも十月十四日午後一時から開催する。ともに有料。問い合わせは、藤枝さんのメール=hujieda.toshiyuki@rainbow.plala.or.jp=へ。

 

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