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【茨城】

<ひと物語>「いばらきワイン産業連絡協議会」初代会長 西村勝夫さん(73)

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 「茨城を新しいワイン産地にしていきたい。まず、誕生日などの記念日にワインで乾杯することから始め、ワイン文化を根付かせたい」。昨年二月に設立された「いばらきワイン産業連絡協議会」の初代会長に就任した。協議会には、ワインを醸造するワイナリーや、ブドウの生産農家、酒の販売店など十七事業所が加わる。「茨城ワイン」を育てようと、県内のワイン関係者がスクラムを組んだ。

 県内には、国内のワイナリーの先駆けとなった牛久シャトー(牛久市)があり、ワインの醸造には深い関わりがあった。しかし、これまでこの牛久シャトーと常陸ワイン(常陸太田市)の二カ所に限られていた。

 協議会の取り組みに後押しされるように、水戸市やつくば市、筑西市などでも相次いで、ワイン醸造所が誕生した。

 「茨城とワインは決して無縁ではなかった。牛久のワイナリーは百三十年の歴史を誇り、まさしく温故知新。定期的に情報交換を進め、盛り上げていきたい」

 ワインとのかかわりは、八千代町ふるさと公社の常務だった七年前にさかのぼる。地元で生産が盛んな梨の農家が後継者不足に悩んでいた。梨は栽培に手間がかかるうえ、近年は果樹の老化と担い手の高齢化が深刻になっていた。

 ブドウはナシ畑の棚が活用でき、比較的栽培しやすく「ワインを新しい町の特産品に」と目を付けた。

 地元の農家と「八千代ワインチャレンジ会」を発足させ、ワインづくりの先進地、山梨県に研修に出向いた。事前に購入を予約する「ワインオーナー制度」も設けた。初収穫したブドウは常陸太田市のワイナリーに運ばれ、「八千代ワイン」として約千本が醸造された。

 耕作放棄地を借り上げるなど、チャレンジ会の取り組みは徐々に軌道に乗り、昨年は八千本の「八千代ワイン」が商品化された。任意団体だったチャレンジ会は、「八千代夢ワイン株式会社」に衣替えし、県西地区のスーパーや道の駅で販売されるようになった。

 ワインブドウの栽培に適した場所は、傾斜地のやせた土地とされていた。平地で豊かな土壌の八千代町では、当初は試行錯誤の連続だった。

 「今では、視察に訪れる関係者も多い。私たちがまいた種が、各地で芽となって、ワインづくりが広がりつつある」。まだまだ、チャレンジは続く。 (原田拓哉)

<にしむら・かつお> 1944年3月、山形県鶴岡市生まれ。水戸市内の専門学校を卒業後、県庁に入り、農業改良普及員、農政課に長く携わった。専門は農業経営。最後は農政課長で退職した。その後、八千代町ふるさと公社などを経て、現在、いばらきワイン産業連絡協議会の会長、八千代夢ワイン株式会社の社長を務める。

 

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