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【茨城】

存続危機乗り越え25周年 小美玉の「みのり太鼓」

本番に向け、練習に熱が入る「みのり太鼓」のメンバー=小美玉市で

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 小美玉市を拠点に活動している創作和太鼓集団「みのり太鼓」が今年、発足から25周年を迎えた。3年前に、練習拠点の施設で火災が発生し、大切な演奏道具一式と、練習場所を一度に失うという困難も乗り越えてきた。26日には地元で、節目のコンサートを開く。演奏できる喜びを表現し、聴衆に喜んでもらえるよう、これからも全国各地で、太鼓の音を響かせる。 (越田普之)

 今月上旬に市内の公民館であった練習。息の合ったバチさばきから、力強い音が鳴り響く。演奏が途切れたところで、演出責任者の井坂いく子さん(27)が口を開いた。「音がちょっと強いと思う」

 この言葉に、演奏するメンバーが、強く打つ狙いを説明する。そんなやりとりで、率直な思いをぶつけ合い、曲を作り上げていくのが「みのり流」だ。

 耳が不自由で、極度の人見知りだったという井坂さん。この環境に十七年、身を置き、今では感じたことを堂々と伝えられるようになったと笑う。

 みのり太鼓は一九九二年四月に結成。市内外の小学一年から六十歳まで五十人ほどが在籍する。中心は二、三十代の若手。創設メンバーは二人だけで、世代交代も進む。創設メンバーの一人が、会長就任十四年目の篠原孝司さん(38)だ。

 中学生からの四半世紀を太鼓にささげてきた。篠原さんは、三年前の火災を振り返るときだけは「魂を持って行かれるようだった」と表情を曇らせた。

 三十基ほどの太鼓だけでなく、バチや衣装、活動の記録も焼失。二日後には鹿嶋市での演奏を控えていた。「今後やっていけるのか」と失意に打ちのめされる一方「歩みを止めたら終わり」と、気持ちを奮い立たせた。その日の夕方、メンバーを集め、演奏を辞退しないことを伝えたという。

 熱い思いにメンバーも応えた。それ以降の約半年間、千葉県印西市の団体などから太鼓を借り、演奏を続けた。交流のあった団体が太鼓の購入費用を募ってくれたりし、周囲の支えで存続危機を乗り切った。

 年間の活動日数は百五十日、練習は長い日で八時間にも及ぶ。今も決まった練習場がなく、市内を転々とする日々だ。それでもメンバーは、演奏できる喜びに満ちている。

 二十六日に地元の市四季文化館「みの〜れ」でコンサートを開く。タイトルは「えん〜ひとつの太鼓から〜」。太鼓を通じて生まれた縁で、一都三県の団体が出演する。チケットは完売し、人気は根強い。

 篠原さんは「和太鼓のイメージを覆す県外の団体もあり、地元の人に見てほしい。自分たちとしても、二十五周年を良い通過点にしたい」と将来を見据える。

 

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