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【茨城】

東海第二 延長申請 「リスク大きすぎる」

避難時の受け入れの難しさなどについて話す五十嵐立青つくば市長=つくば市役所で

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 来年十一月に四十年の運転期限を迎える東海第二原発(東海村)の延長運転に向けた手続きが進んだ。運営する日本原子力発電が二十四日、原子力規制委員会に延長申請を出した。住民団体などからは、老朽原発を動かすことに抗議する声が上がった。また、つくば市長も本紙の取材に応じ、「リスクが大きすぎる」と再稼働を危惧した。 (越田普之、山下葉月)

 県内で二番目に人口が多いつくば市の五十嵐立青市長が本紙の取材に応じ「再稼働で事故を起こしたら、市民を守れないし、避難してくる人への対応もしきれない。市長としてそういうリスクを取ることはできない」と、再稼働に反対する姿勢を鮮明にした。

 五十嵐市長は、本紙が六〜七月に再稼働の是非をアンケートした際、「反対」と回答していた。

 その上で「いろんなものにリスクは伴うが、原発事故は、町や村を失ってしまう。リスクを比較する中で、あまりにも損失が大きすぎる」と指摘した。

 県の避難計画案によると、つくば市は、水戸市の住民の避難先の一つ。つくば市は水戸市と昨夏、避難協定を結んだが、五十嵐市長は「今の段階では、責任持って受け入れることは難しい」とみる。

 つくば市危機管理課によると、避難所約八十カ所で約一万二千人が収容可能だが「万単位での避難は想像ができない」。二〇一五年九月の関東・東北水害で、約千二百人を受け入れた経験があるが、食糧の手配や避難所運営の困難さから「これ以上は厳しい」と説明する。

◆脱原発53団体が抗議文「茨城は実験場ではない」

 県内の脱原発団体のメンバー約五十人が二十四日夕、原電茨城事務所(水戸市)を訪れ、五十三団体の連名で抗議文を提出した。

 抗議文は村松衛原電社長宛てで、四十年超の運転を「実験」と位置付け、「過酷事故が起これば地域社会に重要な影響を及ぼす。茨城はあなた方の実験場ではない」と批判した。

 メンバーは二〇一二年七月から毎週金曜に活動する「原電いばらき抗議アクション」に合流。事務所前で再稼働反対の声を上げた。

 東海第二の運転差し止め訴訟に加わる常総生活協同組合(守谷市)は、申請に反対する緊急声明を出した。東日本大震災で被災したことに加え、立地条件や設計の古さを理由に、申請の取り下げと速やかな廃炉を求めた。

 また、市川紀行・元美浦村長と村上達也・前東海村長が共同代表を務める「東海第二原発の再稼働を止める会」も抗議声明を発表し、申請に「間違いなく『再稼働する』との宣言」と批判。三十キロ圏の一斉避難が非現実的だとし、原電に賠償責任を負えるだけの経営体力もないと指摘した。このほか、共産党県委員会や社民党県連合が、抗議の申し入れや声明を出した。

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◆原電が申請を報告 県 追加対策要求も示唆

 東海第二の江口藤敏発電所長らが二十四日午前、県庁を訪れ、原子力安全対策課の関清一課長に申請を報告した。原電は、延長運転をする上で、原子炉などに劣化は生じていないとする。関課長は「県民の関心が高く、安全性の判断は、非常に重要と考えている」と述べた。関課長によると、申請内容について、県が設置している原子力安全対策委員会で独自に検証し、必要に応じて原電へ追加の対策を求める可能性も示唆した。

 江口所長は取材に「延長申請は安全性向上の一環」と繰り返し、再稼働に直結するものではないとの姿勢を強調した。東日本大震災で被災し、冷温停止に三日半かかった点に「運転手順書の範囲内で対応できた」と述べ、問題はないとの認識を示した。

 大井川和彦知事は定例会見で「安全対策の一環としての申請と思っている」と語り、再稼働に直結しないとの見解をあらためて示した。また、再稼働する場合、原電は事前に、県と村のほかに、水戸など周辺五市も同意を取ることになったことに「住民の安心安全を確保する観点から望ましいこと」と歓迎した。

<日本原子力発電東海第二原発> 1978年11月に営業運転を開始、出力は110万キロワットで東京電力や東北電力管内に供給してきた。原子炉は、東電福島第一原発と同じ沸騰水型。東日本大震災では外部電源を失い、津波に襲われ、非常用発電機の一部が使えなくなったが、残りが作動し、原子炉の冷却を継続できた。敷地内に、国内初の商業原発だった東海原発があり、廃炉作業に入っている。

 

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