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【茨城】

<おでかけパレット>ひたちなか「干しいも」 自然が育む金色「小判」

サツマイモ作りから加工まで携わる干しいも農家の加藤友也さん=ひたちなか市で

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 つややかな金色の「小判」が、風通しのよいビニールハウス一帯に敷き詰められ、甘い香りが漂う。たっぷりと吸い込んだ太陽の光を、その色に反映しているかのよう。高級甘味として愛され、地元ではお歳暮や正月の手土産として人気の干しいもだ。

 「天日でしっかり干すことが大事なんだ」。ひたちなか市の農家で「ほしいも工房遊心」代表の加藤友也さん(58)は、今季の出来栄えに目を細める。

 干しいもを作り続けて、二十四年目に入った。社員と家族の計十五人で原料のサツマイモ栽培から、干しいもの加工まで手掛けている。

 県や市によると、県内の干しいも作りは、明治期に始まったとされる。湊町(現・ひたちなか市)出身の煎餅屋が、作り始めたものが広まった。現在、国内生産量のうち、県産が九割を占めている。主産地は、ひたちなか、東海、那珂の三市村で、加藤さんら生産者は六百人以上いる。

ビニールハウスで太陽の光をたっぷりと浴びる干しいも

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 生産を支えるのは、良質な土壌のほか、乾いた風と冬場の長い晴天だ。この地域の冬の平均気温は一〇度以下で乾燥しており、まさに絶妙な「天然の冷蔵庫」。県の担当者は「天日干しの場合、気温が高いとかびてしまう」と紹介する。

 加藤さんの主力品種は「泉13号」。他品種「タマユタカ」「べにはるか」の収穫量の六割しか取れず、加工の難易度が高いことなどから、生産量が少ない。しかし、黒糖のような濃厚な甘みは別格だという。

 「とにかくおいしいものを作りたい」と、加藤さんは堆肥を混ぜたオリジナル肥料を使う。育てたイモを蒸して皮をむき九ミリ幅にスライスし約一週間、干す。機械も使うが、仕上げに天日で四日ほど干すことで、味に深みが増すという。それとともに、皮と肉色が白い泉13号は、だんだんと金色に姿を変えていく。

 板前だったこともあり、味へのこだわりは人一倍強い。一九九四年に実家の農家を継いだ後は、さまざまなイモを食べ歩き、泉13号にたどり着いた。

干しいも作りには、7種の芋を使う

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 軌道に乗りだした直後の九九年、東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)で臨界事故が起きた。イモから放射性物質が検出されたわけではないのに、販売量が落ち込む風評被害に悩まされた。

 それでも、大阪の客から「事故があっても、おまえの干しいもを買いたい」と連絡があった。この時、「どこまでも味を追求しよう」と思いはより強まった。

 干しいも作りと料理は似ているという。「手間暇掛けることで、おいしくなるんだ」。自然が育む「金色」を求め、加藤さんは今年も干しいも作りに熱を注ぐ。 (山下葉月)

<ほしいも工房遊心> 冬の日差しを浴びて輝く金色の干しいもは、正月にふさわしい「インスタ映え」。希望者には、干しいも作りの工程が分かる工房や、ビニールハウス内の見学も受け付けている。天日干しの干しいもを撮影し、トリミングすると、より迫力が出てくる。他の工程では、もっと面白い絵が撮れるかも。

 干しいもは現地で購入できるほか、電話かインターネットでも受け付ける。泉13号の平干しは1キロ1900円、丸干しは2100円でいずれも税込み。問い合わせは遊心=電029(272)2937=へ。

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 新年がスタートした。街は初詣の人や、しめ飾り、門松などで彩られ、スマートフォンで撮影し、インスタグラムで発信する人たちも多いかもしれない。国道50号や北関東道で結ばれた茨城、栃木、群馬の北関東三県でも、よくよく歩いてみると、「インスタ映え」する風景は多い。人々を魅了する風景の「色」を探した。

 

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