東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 茨城 > 記事一覧 > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【茨城】

<ひと物語>ありのままの自分で 性的少数者のNPO法人「RAINBOW茨城」会長・滑川友理さん

写真

 LGBTなど性的少数者の悩みを聞いたり、彼らの交流の場を設けたりしている。「問題解決のきっかけに利用していただければと思っています」

 同世代にLGBTを自然な形で伝えるため、レズビアンを公にして異性愛中心のクラブにDJとして飛び込んだ。活動を通じた出会いからラジオ番組に出演。放送を聞いた県職員から「LGBTの話をしてほしい」と要請され、二〇一五年から、教員や自治体の職員に基礎知識などを伝える講演活動をしている。

 幼稚園のころから、女の子が好きだという感覚はあった。性同一性障害で「男性として生きたいのではないか」と悩んだ時期もあった。自分の性を自覚すると、ありのままの自分でいたいと公にした。友人らは受け入れてくれたが、親にだけは言えなかった。五年ほど前、同棲(どうせい)していた女性と別れ、実家に戻った時に告白した。時間をかけて話すと、母親は言った。

 「自分を偽って結婚して孫ができても、その時、あなたが笑ってなかったらうれしくない。生きたいように生きて」

 その言葉に「ボロボロ泣きました。父も理解してくれた。家族の理解は味わったことのない喜び、安堵(あんど)感で、それから活動の幅が広がりました」

 講演する時は、「変わった人だと思われている」と考えて臨む。理解しづらいに違いないと。「普段働いている介護の現場でも驚く利用者さんはいます。ただ、笑顔で誠意を持って接することで、レズビアンというレッテルを外してくれる。『なんで理解してくれないの』って思うことは避けています」と話す。

 教員から多い質問が、同性愛の生徒への対応だ。ある男の先生が、男子生徒から「自分はゲイだ」との相談を受けた。先生は力になりたいと思ったが、知識がなかった。発した言葉が「一緒に直していこう」。それ以来、生徒は傷付いたのか、口を閉ざしたという。こんなことにならないよう、正しい知識を持ってほしいと願う。

 LGBTの当事者からは、待遇などが心配で会社に言えないとの相談が多い。「例えば、性同一性障害なら診断書を持って面談すべきだ、と。自分を偽っての生活には限界がある。通じなければ、縁がなかったと思ってもらうことになりますが、ありのままの自分で働くのがベストだと伝えています」

 誰もが生きやすい社会とは何か。「公表、告白するカミングアウトによって家族関係が壊れる可能性もある。ただ言えないと、自分を隠す、偽ることばかりに熱が注がれる。カミングアウトするかしないか、個人が選択できる環境が理想だと思います」。言葉に力がこもった。 (鈴木学)

<LGBT> 同性愛のレズビアン(L)とゲイ(G)、両性愛のバイセクシュアル(B)、心と身体の性が一致しないトランスジェンダー(T)の頭文字を取った総称。LGBTの枠でくくれない性的少数者もいる。博報堂DYグループのLGBT総合研究所の2016年の調査では、性的少数者の割合は人口の約8%との結果が出ている。

<なめかわ・ゆり> 1986年、水戸市出身。介護福祉士として働く傍らLGBTの啓発に携わる。昨年11月に県初の性的少数者のNPO法人RAINBOW(レインボー)茨城を設立、2月18日に水戸市のみと文化交流プラザで講演会と交流会を開く。問い合わせはRAINBOW茨城=電029(350)2517=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報