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【茨城】

ひたちなか海浜鉄道にGデザイン賞 「鉄道で地域振興」を評価

終点の阿字ケ浦駅で開かれたサマースクールの様子(ひたちなか海浜鉄道提供)

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 ひたちなか海浜鉄道(ひたちなか市)の吉田千秋社長が、市民らと力を合わせ廃線の危機を乗り切った経験を伝授する取り組みが、優れたデザインを表彰する本年度のグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)に輝いた。鉄道による地域振興の可能性を示した「仕組みのデザイン」が評価された。「同じ悩みを抱える全国の人たちのバイブルになればとの思いでやってきた」と語る吉田社長は、高い評価にほおを緩める。 (越田普之)

 個性的な駅名標で初受賞した二〇一五年度に続く二度目の受賞。今回は「ひたちなかモデル」として赤字に苦しむ全国の鉄道事業者や自治体の注目を集める、一二年に始めた「ローカル鉄道・地域づくり大学」が評価対象になった。

 吉田社長は〇八年、廃線の瀬戸際にあった茨城交通湊線が第三セクターとして再出発する際、公募で社長に就任した。以来、JR線との接続をよくするなど、利用者の利便性を重視したダイヤに改正。納豆料理を味わえる納豆列車をはじめ、さまざまなイベント列車の運行などで増収を図った。乗客は年間で二十万人以上増え、悲願の黒字化まであと一歩に迫る。

 V字回復には、地元のボランティア団体「おらが湊鐵道応援団」の存在も欠かせない。沿線の魅力をフリーペーパーやツイッターで発信しており、盛んな活動には吉田社長も「会社の一部のよう」と感謝する。市も百年以上の歴史を持つ地元鉄道を地域資源として重視しており、三位一体の取り組みで、地方鉄道では異例の延伸が計画されるまでになった。

 「−地域づくり大学」の中心は、毎夏に開く「サマースクール」だ。吉田社長が講師を務め、業績回復への道のりや地域との連携について解説。これまでに鉄道関係者や自治体職員ら延べ二百五十人が受講し、鳥取県を走るローカル線の公募社長も輩出した。一六年まではサマースクールをひたちなか市で開催し、宿泊費などで地域に経済効果も生み出した。

 グッドデザイン賞の審査員からは「鉄道経営だけでなく、地域運営と組み合わせて考えることで、ローカル鉄道の新たな捉え方を提示している」とのコメントが寄せられた。

 「取り組みを街のブランド化につなげ、もっと多くの人に来てもらえるようにしたい」。吉田社長が目指す終着駅は、まだまだ先にある。

<ひたちなか海浜鉄道湊線> 1913年開業。現在は、ひたちなか市内の勝田−阿字ケ浦の14.3キロを結ぶ。阿字ケ浦から国営ひたち海浜公園西口付近まで約3.1キロを延伸し、2024年度に開業する計画を立てている。本社のある那珂湊駅には駅猫の「おさむ」と「ミニさむ」がすみ着き、人気を呼んでいる。

 

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