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【茨城】

複合災害想定なく疑問の声 「東海第二」笠間市が広域避難計画策定

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 日本原子力発電東海第二原発(東海村)で放射能が漏れる深刻な事故に備え、笠間市は広域避難計画を策定した。策定が義務付けられる原発から三十キロ圏の十四市町村で初めて。ただ、計画は地震などの複合災害は想定せず、汚染検査(スクリーニング)の場所も示していない。不完全な計画に、住民からは「事故時に本当に使えるのか」と不安の声もある。(山下葉月、越田普之)

 計画によると、全市民約八万人のうち、原発三十キロ圏内に住む約三万六千人が対象。三十六の地区単位で移動し、市内八カ所に定めた一時集合場所へ向かう。その後、栃木県の小山、真岡、下野、壬生、上三川の五市町に原則マイカーで避難する。

 通院患者や一人で動けない高齢者は近所の人や民生委員らの助けを借り、一時集合場所に向かい、そこから手配されたバスに乗る。

 計画ができたのは昨年十二月二十五日付で県内で最も早い。だが、事故で重要になるスクリーニングや甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の配布場所は盛り込まれていない。市によると、主導する県が方針を示していないからだという。

 この方針がないため、他の自治体で策定できない現状がある。ある自治体の担当者は「策定時期を引き延ばしたくない気持ちも分かるが、スクリーニングの場所を明記しないで作ったとするのは疑問を感じる。(放射性物質を拡散させる恐れがあり)避難を受け入れる側にとっても必要な要素だろう」と指摘する。

 計画は、地震などの複合災害、雪や豪雨などの気象条件なども想定しておらず、実効性に疑問を投げかける住民もいる。昨春、東海第二の運転延長申請に反対する請願を市議会に提出した市民グループ「東海第二原発の再稼働を考える会」の代表、島田修一さん(82)は「複合災害を想定していないのは不安だ。小さい子どもを抱える母親も多くいるので、今後も計画を精査してほしい」と訴えた。

 策定を急いだ理由について、山口伸樹市長は十九日の記者会見で「いつ事故が起きるか分からないから」と説明。一方で「机上の計画で、複合災害まで踏み込めていない」と内容の不備を認めた。

 市は二十一〜二十三日の三日間、午後七時から市友部公民館で説明会を開催。住民から意見を募り、計画を改善したいとしている。

 

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