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【茨城】

筑波大発ベンチャーが事業 下半身まひの子ども「ロボスーツ」で支援

HALを使った歩行訓練を受ける島崎さん=神奈川県藤沢市で

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 つくば市に本社がある筑波大発のベンチャー企業「サイバーダイン」と米保険会社の日本法人「AIGジャパン・ホールディングス」が、ロボットスーツを使って歩行困難な子どもを支援する事業を始めた。対象は神奈川県在住・在学者だが、成果次第で、全国に広げるかを検討する。サイバーダインは「子どもたちの将来の夢が広がるのにつながれば」と期待を込める。 (志村彰太)

 ロボットは、サイバーダインが開発した「HAL」(ハル)。腰から足にかけて装着すると、「脚を動かす」という脳の指令を皮膚に付けたセンサーが感知し、歩行を補助する。歩く動作を繰り返すことで、脊髄損傷で失われた、神経から筋肉への意思伝達機能が回復・強化され、歩行能力の向上が見込めるという。

 プログラムは、サイバーダインの子会社「湘南ロボケアセンター」(藤沢市辻堂)で実施。センターには二〇一三年の開設以降、全国から月百人が利用に訪れる。若年層は事故、中高年は脳血管疾患の後遺症で歩行機能を失った人が多い。

 今回の事業の対象は、事故などで下半身がまひした神奈川県内在住・在学の小中高生。九月までに五十人が参加し、九十分のプログラムを十回、無料で受けられる。

 センターの久野孝稔社長は「個人差はあるが、期間を空けずに十回利用すれば機能が向上するか判別できる」と話す。終了後も標準的なプランで一回二万円の費用の自己負担によりプログラムは継続できる。

 AIGの担当者は「神奈川は先端医療や未病(予防医療)、ロボットの特区になっている。ロボケアセンターもある関係で、神奈川を対象に支援しようと考えた」と強調する。障害で夢を諦めず、「将来の可能性を広げてほしい」と期待した。

 利用者が増えると、サイバーダインにとってはHALの改善に向けたデータが多く入手できる。AIGにも、HALの利用を想定した保険商品の開発につながる情報が得られるなどのメリットがある。久野さんは「HALの有用性を多くの人に知ってほしい。今後、子ども用の小さいHALの開発も進める」と語った。

◆神奈川・厚木の島崎さん HALでトレーニング「自立へ一歩近づいた」

 HALを使った歩行訓練とはどんなものか。湘南ロボケアセンターを訪れると、二〇一三年に患った脳梗塞の後遺症で左半身にまひが残る五十代の島崎恵子さん(神奈川県厚木市)が訓練を受けていた。

 上部からベルトで体をつって負荷を軽減しながらウオーキングマシンの上を歩き、スタッフの補助を受けたりつえを使ったりしながら施設内を回る。「歩く」という脳の指令と実際の動きを連動させて繰り返し体験することが、歩行機能の向上につながるという。

 島崎さんは一昨年五月からセンターに通う。発症直後に歩いて三十分かかった道のりが「今は半分の時間で到着する」と笑顔を見せる。「HALのトレーニングで驚くほど良くなった。自立に一歩、近づいた」と語った。

 

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