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【茨城】

<風化させない>(中)茨城原子力協議会 じわり巻き返す推進派

大井川知事(右端)や国会議員、県議、市町村長らが出席して開かれた協議会の会合=水戸市で

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 水戸市の高級ホテルに一月十日、大井川和彦知事や自民県議のほか、東海村の東海第二原発の再稼働を目指す日本原子力発電(原電)の村松衛社長、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の関係者ら三百人以上が集まった。

 公益社団法人・茨城原子力協議会の新春のつどいだ。来賓の自民県連幹事長の田山東湖県議は「(原子力は)先人が誘致したわれわれの宝。県議会を挙げてしっかり議論し、安全を担保しつつ、日本のエネルギーの一翼を担う存在感を出していきたい」とあいさつ。東京電力福島第一原発事故に言及することなく、原子力を引き続きエネルギー源に利用する意欲さえにじませた。

 協議会は一九七九年に設立。目的は「放射線の基礎知識と原子力の安全等の幅広い知識を普及し、放射線と原子力の科学技術の振興に寄与する」とうたう。

 会員は約二百二十の企業・団体で県内全市町村のほか、原電や原子力機構、原発メーカーの日立製作所など原発関連がずらり並ぶ。

 一般正会員の年会費は三万円からで、二〇一七年度の会費収入は約三千百万円。正会員の水戸市は「協議会の目的が、市の考えと一致する」と払い続ける。

 県は会員ではないが、幹部職員が原電の幹部らとともに役員に名を連ね、常務理事ポストは歴代県職員の天下り先となっている。

 東海第二が再稼働となれば、県は県民の命や財産を守るため、安全性をチェックし、認めるかどうかの判断を下す立場だ。

 福島事故の遠因として規制する国側と、電力会社や原発メーカーなど「原子力ムラ」の癒着が厳しく批判された。協議会もチェックする側と、される側が同居する形。再稼働の是非の県の判断に影響しないのか。

 取材に、県原子力安全対策課の担当者は「影響されることはない」と反論した。癒着を生むのではとの指摘に、協議会の常務理事は「原子力事業者に厳しい姿勢の首長、団体も役員に入り、癒着はありえない」と否定する。

 ただ、元役員は「協議会は事故前も後も、原子力推進の体質に変わりない。その上、県政界は、原発維持を掲げる自民が強く、日立製作所の労組の力が強い連合茨城があって、彼らに支持を求める政治家がいる。変わるのは難しい」とみる。

茨城原子力協議会が運営する原子力科学館。福島第一原発事故関連の展示も一部ある=東海村で

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 本紙が加盟する日本世論調査会の調査によると、事故直後の一一年六月に、原発の廃炉を求めたのは82%、最新の今年二月は75%だった。依然、「脱原発」を求める声は多いとはいえ、やや低下している。

 そうした空気を察してか、原発推進派がじわりと巻き返している。

 昨年末の県議会の質問で、自民議員が「震災の教訓は、原子力は危ないから止めるといった幼稚なものではなく、原子力施設の安全を確保する方法を探ること。パフォーマンスで脱原発を訴える風潮は即刻やめるべきだ」と述べ、東海第二の再稼働を暗に求めた。

 さらに、隣接する埼玉県議会が自民議員が中心になり昨年十二月、全国の都道府県議会で初めて、再稼働を強く求める意見書を可決した。 (鈴木学)

 

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