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【茨城】

<風化させない>(下)育つ再生エネ 太陽光全国一

ウィンド・パワー・グループが手掛けた洋上風力発電の1号機(左)などを説明する小松崎専務=神栖市で

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 鹿嶋市と神栖市にまたがる鹿島臨海工業地帯の玄関口の鹿島港。工場が立ち並ぶ陸地から約七百メートル沖合に、大規模な洋上風力発電所の建設計画が進む。

 計画エリアは海面の総面積で、東京ドーム百四十五個分ほどの約六百八十ヘクタール。北側で、地元企業の「ウィンド・パワー・グループ」(WPG、神栖市)が設計段階に入っている。南側は、WPGと日立ウィンドパワー(東京都港区)が連合で今月、県と事業実施の協定を結ぶ見通しだ。

 南北合わせて風車計三十六基を建て、総出力は約十八万七千キロワットの計画。二〇二〇年度の着工を目標にしている。稼働で一般家庭約十一万六千世帯分の電気を賄えると推計する。

 県港湾課によると、順調に完成すれば、日本の大規模洋上風力発電所の第一陣になる可能性が高い。

 WPGの小松崎忍専務(55)は「風力は日本でも基幹電源の一つになっていく。純国産のエネルギー源として少しずつ確実に育てていく」と意気込む。

 実際、風力を含め再生可能エネルギーの普及は、東京電力福島第一原発事故後、急速に広がり、電力供給の一つの柱に成長。電力業界の組織「電力広域的運営推進機関」のデータによれば、夏場の再生エネによる供給力は事故前の二〇一〇年に比べ、一七年は原発二十基分(一基百万キロワットとして計算)相当が増えた。

 県内の再生エネの供給力は一六年度末で原発二基分に当たる二百十七万キロワット。太陽光は、全国の都道府県で一位を誇る。

 だが、欧州などに比べ、導入は遅れている。電力問題に詳しい自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長によると、世界ではすでに風力が原子力を設備容量で抜いているという。「世界では、化石燃料や原子力より自然エネルギーの設備容量の増加が加速している」と話す。

 国内で導入が進まない一つの背景に、大手電力会社が所有する送電線に、新規事業者が再生エネを流そうとする際、立ちはだかる壁がある。大手が送電線に空き容量がないとして、高額な増強費用を求め、事業が断念される例が出ている。

 また、再生エネの内訳を見ると、太陽光に比べ、風力は微増にとどまる。環境アセスメントの手続きに四年程度かかり、機器や工事のコストもまだ高いのが一因。鹿島港でも昨年、南側の事業者だった丸紅が「建設コストが予想より下がらなかった」と撤退した。

 アセスについては、新エネルギー・産業技術総合開発機構が、質を落とさずに期間を半減させるためのガイド作りを進め、国も効率化を目指す。WPGの小松崎専務は「今後、技術や工事方法のイノベーション(刷新)も進み、コストも下がる」と見据える。

 原発事故の風化が進む一方で、その教訓から節電が定着し、再生エネも少しずつ育ってきた。

 小松崎専務は「原発が廃炉になっても、国民が電力供給面で心配しないで済む形を提案できる」と自信を見せた。 (酒井健)

 

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