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【茨城】

笠間の「白い貴婦人」売り込め 「稲田石」東京駅前広場 石畳に採用

「稲田石」が敷き詰められた東京駅丸の内駅前広場=東京都千代田区で

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 笠間市で産出される「稲田石」が、新装成ったJR東京駅丸の内駅前広場の石畳に採用された。稲田石の利用をもっと増やそうと、市や地元の石材組合が売り込みに力を入れている。「日本の玄関口」で使われたのをチャンスに、かつての輝きを取り戻したい考え。採石場を観光スポットとして紹介し、地元で企画展も開いている。 (越田普之)

 昨年十二月にオープンした丸の内駅前広場。皇居側へ広がる長さ八十五メートル、幅二十メートルの空間に、三千枚以上の稲田石(縦八十九センチ、横五十九センチ、厚さ八センチ)が敷き詰められた。日本に着任した外国大使が天皇陛下に信任状を奉呈する際、馬車で通るのがここだ。

 三月下旬、広場で写真を撮っていた広島県尾道市の五十代の夫婦は、桜見物のため上京したという。「天気が良いから白い石がキラキラ光って、駅舎の赤とのコントラストもきれい」と表情がほころんだ。

 稲田石は約六千万年前、地下深くのマグマが固まってできた花こう岩の一種。際だつ白さから「白い貴婦人」とも呼ばれる。耐久性も兼ね備え、採掘地が東京にも近いことから、これまで国会議事堂や最高裁判所などに使われてきた。

 丸の内駅前広場の整備計画が二〇一四年に明らかになると、稲田石材商工業協同組合や笠間市の担当者らがJR東日本に「日本の玄関口には国産で高品質の稲田石がふさわしい」と陳情。JR側は当初は予算の都合などから難色を示したが、最終的に熱意を受け入れた。JRの担当者は「格式高い空間づくりのため、ランクの高い石として採用した」と説明する。

昨年6月に撮影された「石切山脈」。絶景が人気を呼んでいる=笠間市で(Takataroさん撮影、想石提供)

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 江戸時代から利用が始まった稲田石だが、近年は採掘量が減少。組合によると、現在はピーク時の十分の一ほどという。背景には需要低下や安価な海外石材の普及、後継者不足などがある。百五十社ほどだった組合員も五十社弱に減った。

 伝統が消えるという危機感から、市や観光協会がPRに力を入れ始めた。石切山脈と呼ばれる採石場(東西約八キロ、南北約六キロ)を「壮大な石の屏風(びょうぶ)」の観光地として紹介。「インスタ映え」するような山の緑と、白とグレーを対比した風景を売りにする。

 東京駅での採用を記念した企画展も、市内の展示施設「石の百年館」で開催(五月二十七日まで)。丸の内駅前広場で使われたのと同サイズの石に触って質感を確かめられるほか、石の特性や仕上げによる違いも紹介されている。解説員河野雅英さん(65)は「東京駅に使われたのを機に、若い人にも稲田石に関心を持ってほしい」。

 石切山脈の見学の問い合わせは、採石業者「想石」=電0296(74)2112=へ。百年館の企画展は入館無料で原則、月曜休館。

 

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