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【茨城】

霞ケ浦導水訴訟、二審で和解 国と漁協、運用協議で合意

和解成立後に会見する漁協組合長や弁護士ら=東京都内で

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 霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ霞ケ浦導水事業を巡り、那珂川の生態系に影響が出るなどとして、茨城、栃木両県の漁協などが国に工事差し止めを求めた訴訟の控訴審は二十七日、東京高裁(都築政則裁判長)で和解が成立した。毎年四カ月間の夜間取水停止や水質調査を行うことなどで合意はしたが、原告側には複雑な表情ものぞいた。 (宮本隆康)

 和解条項などによると、国と漁業者は工事が完成して本格運用が始まるまで、意見交換の場を毎年、原則一回設けて導水の運用方法を決める。意見交換する協議会は、今年七月にも第一回が開かれる。

 また、生まれたばかりのアユが泳ぐ十月から翌年一月まで四カ月間は、午後六時から午前八時まで十四時間、那珂川から取水しない。霞ケ浦の水を那珂川に流す「逆送水」は、那珂川の環境に影響が出ないよう少量の試験送水をして、水質のモニタリング調査を実施。結果を踏まえて、国が漁業被害の防止策を検討するとした。

 原告側の谷萩陽一弁護団長は「取水停止期間が国の計画より二カ月長くなり、水質調査が決まったことは重要な成果。裁判を続けて敗訴したら何も残らない。漁業者の主張を通せる和解を選ぶしかなかった」と話した。

 国土交通省関東地方整備局の泊宏局長は「漁業関係者へ丁寧に対応するとともに、関係機関と緊密に連携し、霞ケ浦の水質浄化や、広域で安定的な水利用を図るため、事業を推進する」とのコメントを発表した。

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 訴訟は二〇〇九年に始まり、漁協側はアユ漁が盛んな清流の那珂川に霞ケ浦の水が流れ込むため、「生態系が壊され、漁業権を侵害される」と主張。一方、国は利根川と那珂川の水を行き来させ、水量調整で首都圏の用水を確保し、霞ケ浦の水質浄化を図ることが目的と説明した。一審の水戸地裁は漁協側の請求を棄却していた。

<霞ケ浦導水> 那珂川と霞ケ浦間、利根川と霞ケ浦間を、深さ20〜50メートルの地下トンネル2本で結ぶ国の事業。1984年に着工し、地下トンネルの利根導水路(長さ約2・6キロ)は完成したが、那珂導水路(同約43キロ)は30キロ近くが未完成。民主党政権時代に中断され、自民党政権に戻って継続が決まったが、工事は今も再開されていない。事業費約1900億円のうち、既に約8割が使われ、さらに費用は増えるとみられている。

 

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