東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 茨城 > 記事一覧 > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【茨城】

ひきこもり、介護離職も 水戸市「自立相談支援室」柏さんに聞く

ひきこもりや介護離職など「80代の親と50代の子」が抱える問題について話す柏さん=水戸市で

写真

 失業やひきこもりの人たちが自立できるようサポートすることを目的とした生活困窮者自立支援制度に基づき、自治体に設けられた「自立相談支援室」。水戸市では4月で開設から3年になり、相談者が延べ1000人を超えた。どんな相談が寄せられ、どう対応しているのか。主任相談支援員の柏裕子さん(56)に聞いた。 (酒井健)

 −どんな相談が多いか。

 まず一番多いのが「お金がない」という内容で、八割ほどを占める。本人からのほか、税や国民健康保険料が払えず、市の担当課から紹介されることもある。失業に加え、病気も抱えている、借金があるなど、いろいろなケースがある。その人の状況に応じ、一緒に生活再建のプランを考えるのが私たちの仕事です。

 −最近の傾向は。

 ひきこもりの息子と暮らす高齢の母親からの相談が一番多い。「自分が死んだ後、子どもはどうしたら」と不安に思っている。父親が他界し、母親の年金で暮らすケースが多い。母親が介護を受けている場合、母親には介護サービスが届いているが、ひきこもる五十〜六十代の息子へのケアが今のところ、制度につながっていない。

 介護で離職した人からの相談もある。例えば東京の会社に勤め、親の介護のため辞めたけれど、地元に条件の合う再就職先はなかった。何年かして親が亡くなり、本人も年を取り、やはり再就職先がない。ひきこもりも介護離職も、「八十代の親と五十代の子」が経済的な困難を抱える「八〇五〇問題」の一部です。

 −そういう相談に、どういう対応をするのか。

 再就職を目指す人には担当職員がハローワークに同行したり、NPOなど民間の就労支援団体につないだり。就職活動中に住居を探している人には家賃補助の制度もある。条件が合えば、貸付金や生活保護の窓口につなぐこともある。

 息子がひきこもる母親には「無理に水を飲ませなくても、飲みたければ(息子が)自分から飲みに来る。その力を信じてあげて」と話すことがあります。

 −今後の取り組みは。

 市役所に限らず、いろいろな関係機関、団体と横のつながりを広げていきたい。就職や介護、病院などと問題を共有し、方向性を持った支援をしやすい形をつくっていきたい。

 また、近所の人の悩みや問題を「他人ごと」と思わずに、何かできることがないかなど、お互いが思いやれる社会をつくっていければいいなと。

<生活困窮者自立支援制度> 自治体が、経済的に最低限の生活を維持できなくなる可能性のある人(生活困窮者)への就労支援や家賃補助のほか、困窮世帯の子どもの学習支援などをする。都道府県や市など福祉事務所を設置している自治体に相談窓口がある。生活保護受給者が増える中、セーフティーネットを充実させる目的で2015年に施行された生活困窮者自立支援法に基づく。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報