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【茨城】

<ひと物語>元気をくれる「相棒」 水戸市在住「日本ふんどし協会」会長・中川ケイジさん

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 機能性に優れる日本伝統の下着の良さに気付いてもらおうと、ファッション性豊かなふんどしのブランド「SHAREFUN(しゃれふん)」を創設し、生産から販売まで手掛ける。

 普及のために「日本ふんどし協会」も設立し、会長を務める。二〇一五年から妻の実家がある水戸市に居住し活動している。

 運命を変えた一枚に出会ったのは七年前。美容師から転職し、兄が経営していた東京のコンサルティング会社で働いていた時だった。思うように業績を上げられず「誰からも、ありがとうと言ってもらえていない」と思い悩む日々。会社へ行くのが苦痛で仕方がなくなっていた。

 そんな時、取引先だったサプリメント会社の社長から「下着をふんどしに変えたら体調が良くなった」と聞かされた。そのやりとりで久しぶりに心の底から笑うことができ、「自分も試してみよう」と思った。

 すぐに一枚購入して試したところ、ゴムの締め付けがない上に通気性も良く、快適そのもの。心の不調から来る睡眠障害も、ふんどしだとぐっすり眠ることができた。うつ病と診断されて休職に入ったが、ふんどしを着けるのがささやかな楽しみになった。

 療養中、どう生きていくか自問自答し続けた。「美容師もサラリーマンも中途半端。起業するしかない」と道を定め、自分の気持ちを前向きにしてくれたふんどしに懸けることにした。

 最初の一枚を買い求めた際、デザインや色などの選択肢が少ないことに物足りなさを感じていた。そこで従来なかったおしゃれなデザインや包装を考え、一一年冬からインターネット上で売り出した。

 翌年、バレンタインデーの二月十四日を語呂合わせで「ふんどしの日」としてPRしたところ、プレゼント用として好評を得た。購入した女性からは「レディース用はないのか」と問い合わせを受けた。タイトな下着に対するストレスが女性の方が大きいと気付かされ、開発に取り組んだ。

 販売が軌道に乗ると、テレビなどのメディア露出が増え、百貨店でも取り扱われるようになった。起業以来、認知度アップに一定の手応えを得た一方、最近はインターネット上に類似品が出回るなどの悩みも抱えるようになった。

 そこで今夏以降、ブランドを見つめ直そうと考えている。「必要としてくれる人のため、丁寧に販売したい」といい、販売も自社のサイトに限定する方針だ。

 「美容師やサラリーマンの仕事が順調だったら、ふんどしに興味も持たなかった」と振り返る。「物としての下着を販売しているつもりはない。ふんどしはコミュニケーションツールにもなるし、睡眠時に疲れた自分をいたわるスイッチにしてほしい」。言葉の端々に、並々ならぬふんどしへの思い入れがのぞいた。 (越田普之)

<なかがわ・けいじ> 本名は中川啓次。1976年12月、兵庫県芦屋市生まれ。駒沢大経営学部卒。阪神大震災では自宅の全壊を経験した。現在、地域貢献の取り組みに力を入れる。大型連休中には、大洗町の旅館とホテルで宿泊者にふんどしをプレゼントし、使い心地をPRした。今後、障害者就労支援施設と連携し商品の袋詰めなどを通じ雇用創出につなげようと思い描く。

 

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