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【茨城】

筑西のサケ遡上減った? 五行川で風物詩到来も募る不安

体をよじらせながらジャンプし、階段状の地点を乗り越えていくサケの成魚=筑西市で

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 日に日に気温が下がり、秋が深まる中、筑西市の五行川でサケの遡上(そじょう)が始まっている。多くの近隣住民が訪れ、ふるさとで最後の力を振り絞るサケの姿を見守る。一方、環境保全に取り組む関係者は「遡上する個体数が減っている」として、秋の風物詩の先行きを心配している。(越田普之)

■成長

 サケの回帰は、水が湧き出る場所があることや、産卵に適した玉砂利が川底にあることなどが条件とされる。県内では毎年、久慈川や那珂川、利根川と、その支流に遡上する。

 市によると、五行川のサケは、小貝川から利根川を経由して太平洋へ出て行き、オホーツク海で成長。三年から五年で戻って来るという。

 市が遡上の観察スポットとして案内している仙在橋付近では今月中旬、大きく成長を遂げたサケの姿が見られた。カメラを手に訪れていた結城市の竹沢丹蔵さん(69)は「階段状の場所に何度も挑戦する姿がいい」とほれ込むが、「数が少ない気がする」と表情を曇らせた。

■温度

 遡上を見守り続けるNPO法人「未来につなごう鬼怒川・小貝川の会」理事の増渕昭さん(74)=宇都宮市=は「二〇〇六年の定点観測では七百〜八百匹が上がってきていたが、去年と一昨年は百〜二百匹ほどに減った」と説明する。

 増渕さんの言葉を裏付けるように、埼玉と群馬の県境の利根川に設置されている利根大堰(おおぜき)でも、一六、一七年の遡上数が一五年の三分の一以下にとどまっていた。

 特に昨年、サケは全国的に記録的な不漁。原因を分析している北海道区水産研究所によると、一三、一四年は太平洋からオホーツク海にかけての水温の変化が激しく、稚魚へ悪影響を与えた可能性があるとみている。ただ、こうした傾向が続くかどうか、はっきり分かっていない。

■体長

 気掛かりなのは、数の減少だけではない。増渕さんは「多くのサケは以前、体長が八〇センチくらいあったのに、去年は六〇センチほどだった。オホーツク海のエサが減り、栄養を十分に蓄えられていないのでは」と推測する。その上で「市街地を流れる川でサケが見られるのは、筑西の財産であり誇りだ。今後も稚魚を多く放流するとともに、川をきれいにしてサケを迎える準備をする」と話し、今後もできることを続けていくとした。

◆捕獲と採卵見学会 24日・鬼怒川河川敷

 五行川と並んでサケの遡上スポットとなっている筑西市の鬼怒川河川敷で24日、鬼怒小貝漁業協同組合と市民団体の「鬼怒川を愛する会」が、サケの捕獲と採卵の見学会を開く。

 サケに触る体験ができるほか、五行川にも放流している稚魚用のふ化場について説明がある。大切な漁業資源への理解を深めてもらうのが狙いで、事前の申し込みが必要。参加者は市内の鬼怒小貝漁協に午前9時45分に集合する。

 問い合わせは、鬼怒川を愛する会の五十嵐孝行会長=電0296(28)7643=へ。

 

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