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【茨城】

<県議のしごと 選挙を前に> (下)東海第二問題

タオルを使って体操する施設の利用者。半数は車いすを使っていて、避難に時間がかかる=水戸市で

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 水戸市の介護老人保健施設「ナーシングホームかたくり」で十一月下旬の朝、車いすの高齢者が職員の掛け声に合わせ、楽しそうに体を動かしていた。

 その姿を見ながら、施設を運営する翠清福祉会の簾内(すのうち)信行事務局長(54)は「避難の計画を作っている最中ですが、全然うまくいかないんです」と打ち明ける。施設は、東海村の東海第二原発から約三十キロ。深刻な事故なら避難を迫られる。

 施設には高齢者約百人が暮らし、約半数が車いすを利用する。県の計画では、高齢者らはバスで避難するが、簾内事務局長は「バスはありえない。車いすを固定させたり、ストレッチャー搬送の機能のある車でないと無理」と訴える。

 県が福祉車両を確保できていないため、施設は所有する車両計五台を使い、つくば市の二施設に避難することを想定。だが、一度に運べるのは最大十八人で、何往復もしなくてはならない。簾内事務局長は「道路は渋滞するし、待っている人は被ばくするのではないか」と不安を漏らす。

 避難計画策定が義務付けられる原発三十キロ圏十四市町村には約九十六万人が生活する。住民を安全でスムーズに避難できるようにするのは極めて難しい。

 一方、東海村で旅館を経営する相沢広さん(63)は、再稼働を認めてほしいとの立場。「再稼働すれば、定期的に検査の作業員らの宿泊が見込める。経営が安定する。観光地であれば人も来るが、そういう場所ではない」と説明する。

 避難計画、地域経済、東京電力福島第一原発事故、原子力規制委員会の審査、電力需要と料金、住民感情など再稼働の是非を判断する際に考える要素は多い。

 原発再稼働に関して県が住民アンケートをしたことはないが、二〇一七年の知事選で共同通信がした電話調査では、再稼働について「どちらかといえば」を含め「反対」が64・6%で、「どちらかといえば」を含めた「賛成」の28・7%を大きく上回った。

 県議は判断基準をどこに置くべきか。六期務め、今期で引退する井手義弘県議は「個人的な考え」として「アンテナを高くして、自分を支持してくれる人たちが賛成か反対かで判断していいのでは。地方議員は国家のためというより、自分の地域の住民のことを考えていいと思う」と語る。

 これまで再稼働してきた原発の地元同意の手続きでは、県議会が同意を表明した後に、知事もそれに従い同意してきた。東海第二でも県議会の結論が、知事の再稼働の判断を左右する可能性がある。 (鈴木学、山下葉月)

 

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