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【神奈川】

『ラブレター』中身は… 相模原市藤野町に息づく野外環境彫刻

2009年6月8日

山の斜面に作られた「緑のラブレター」=3日、相模原市藤野町

写真

 中央高速道やJR中央線で、相模原市藤野町の中心地に差しかかると、車窓から南側の山中に白い手紙のようなものが見えてくる=写真。あれって何? ハートの封印に込められた思いは? 相模湖インターを降りて聞いてみた。 (松平徳裕)

 手紙が最も見やすいポイントを、相模原市藤野町地域自治区事務所の鈴木成夫さん(46)に案内してもらった。勧められたのは、JR藤野駅の観光案内所前。相模湖をはさんで真向かいの森林の中に白い長方形がくっきり見える。中央高速道では藤野パーキングエリアがいいという。ところで、あれは何ですか?

 「手紙のオブジェで、名前は『緑のラブレター』、町内に数多くある野外環境彫刻の一つです」

 鈴木さんによると、野外環境彫刻は、合併前の藤野町が一九八八年から三年間実施した「藤野ふるさと芸術村メッセージ事業」の一環で、国内外の彫刻家らが同町名倉地区周辺に約三十作品を制作・展示した。作品群は一部を除いて残され、作品沿いの遊歩道は「芸術の道」として親しまれている。

 「事業の原点は、第二次大戦末期の四五年ごろ、藤田嗣治ら芸術家十数人が町へ疎開してきたことにある」と鈴木さん。芸術家らはピカソ通りやマチス通りといった街路を設ける「芸術都市」構想をつくったという。

 藤野駅前など遠目だと一見小さなラブレター。作者の町在住の造形作家高橋政行さん(59)にサイズをたずねると、「横二十六メートル、縦十七メートルと小学校のプールほどの大きさ」という。鉄製の枠組みに白いキャンバスシートを、ハート部分には木製下地に赤いキャンバスを張った。森の緑が手紙を抱えた姿に見えるよう、手の形の切り込みもデザインされている。

 「中身はどんな文が書かれているの? と聞かれることも多い」と言う高橋さん。

 「野外環境彫刻で伝えたかったのは、環境は常に人に語りかけているということ。ラブレターは、藤野の風景が語りかけるものに気づいてもらうきっかけ。中身は、見た人それぞれが感じてほしい」とほほ笑む。

 横浜市鶴見区出身の高橋さんは、陶芸家の妻安子さん(60)と町に移住し三十年。三月末にオープンした観光案内所入り口に、額の形のオブジェ「フジノゲート」を制作した=写真(下)。

 「ここは名所旧跡が数多くあるわけではないけれど、さりげないやさしさが感じられる町。『ゲート』にはアートの入り口という思いを込めました」と話す。

 観光案内所の非常勤職員傍嶋(そばじま)幸代さん(28)は「ラブレターは、発想が面白くて大好き。見て不思議に感じた人たちが藤野を訪れてもらえれば」と話していた。

 

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