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【神奈川】

<元気人@かながわ>被災地支援を続ける開業医 酒井太郎さん(46歳)

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 東日本大震災の発生十日目に宮城県南三陸町に医療支援に入った。

 「大震災で困っている人がいると聞いて、行こうと思い立った。神奈川県医師会医療支援班の第一陣として宮城県から指定された南三陸町に入った」

 同町では救援本部に仮設の診療所が設営されていたが、津波に襲われなかった地区では自宅にとどまっている要支援者も多かった。地元の看護師と一緒にそれら要支援者宅を回る仕事を引き受けた。

 ほとんどが持病のある高齢者。停電が続き、情報から孤立し、町の被害状況、避難所の開設や救援物資の配布すら知らない。「震災後に初めて話す外の人です」と手を取って喜んでくれた。その後も半年に一度は同町に通った。

 ある日、被災地で言われた。「自分たちは、自分たちの町が地震や津波に襲われようとは少しも考えていなかった。鎌倉は大丈夫ですか」。目の前の被災地の風景と鎌倉が重なった。「私自身、鎌倉に大地震、大津波が来るとは全く思っていなかった。たまたま東北で起こったが、鎌倉で起これば、鎌倉もこの風景になってしまう」

 鎌倉で防災グループ「鎌倉に震災銭湯をつくる会」の共同代表になった。

 「わが家は鎌倉中心部にあった銭湯『松ノ湯』でした。時代の波で銭湯は廃業したが、被災地では一カ月近く入浴できない人もいた。震災時でも入浴できるようにしなければならないと思って」

 被災地について講演を頼まれたが、「自分で話すよりも、現状を伝える映画のほうがいいので、映画祭を思いついた」。二〇一三、一四年に東日本大震災や福島第一原発事故関連のドキュメンタリー映画を上映した。今年も今月十六日から開いており、五月十一日、六月十一日に鎌倉生涯学習センターで上映する。

 「被災地へ通って悟ったことがあって。それは人の命、特に子どもの命よりも貴い地域の宝はないということです。そのために、がんばっていきたいです」

 二十七日には、地震が続く熊本県益城町へ医療支援に入る予定だ。

 映画祭の詳細は「ALL鎌倉映画祭2016」のホームページで。 (草間俊介)

◆私の履歴書

1969年 鎌倉市生まれ

2003年 独協医大大学院博士課程修了

 07年 鎌倉市に「さかい内科・胃腸科クリニック」を開業

 11年 宮城県南三陸町に医療支援に入る。「鎌倉に震災銭湯をつくる会」共同代表に

 13年 第1回ALL鎌倉映画祭を開催

 

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