東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

老朽アパートを地域がつながる場に 横浜の32歳荒井さん 来月から改修

「しぇあひるずヨコハマ」を運営する荒井さん。後ろの両側にある3階建てのアパートを改修する=横浜市神奈川区で

写真

 横浜市神奈川区の築六十年のアパートを人が集まり、近隣同士のつながりをつくる拠点にしようと、元IT会社社員の荒井聖輝(きよてる)さん(32)が曽祖父が建て老朽化したアパートの改修に向けて準備している。鉄筋コンクリート三階建ての二棟と中庭を改装し、アーティストや社会課題解決を目指して活動する起業家に貸す。荒井さんは「絶えず催しが開かれ、近隣住民や子どもが緩やかにつながる場所にしたい」と語る。 (志村彰太)

 京急線神奈川駅近くの丘の上に、荒井さんの管理するアパートがある。屋上に上がると周囲のビルより高く、みなとみらい地区の街並みだけでなく、新宿のビル群や東京スカイツリーも遠くに見渡せる。「この辺りでは一番の絶景スポット」と荒井さんは胸を張る。敷地は八百四十平方メートル。二棟の間には、ウメやサクラ、サルスベリといった樹木と家庭菜園がある。

 ただ、中庭は手入れされず、建物は老朽化が進み危険なところもある。メゾネットタイプなど四部屋ある建物は一九五二年、六畳一間を中心に七部屋ある建物は五八年の建築で、一度も修繕されていない。いずれも風呂は共同。家賃月三万円ほどの格安物件だった。荒井さんは「資産価値もなく、このままでは扱いに困る建物」と話す。

 荒井さんは東京・浅草で育ち、大学生のころ母の実家がある神奈川区に引っ越した。就職後の二〇一二年に結婚。翌年に長女が誕生した。しかし、妻の両親が体調を崩して入院し、自身の祖父も介護が必要になった。「育児と介護の両立が突然、のしかかってきた」。その時、実感したのが「地域のつながりが弱く、助け合えない社会」という現状だった。

 「この古いアパートを使って、地域のつながりをつくり出せないか」。会社を辞めて一六年四月に会社を設立し、アパートを「しぇあひるずヨコハマ」と名付けて改装の準備を始めた。六千万円を借り入れ、今年二月から改装を始める。

 建物を補強して各部屋をきれいにするほか、いくつかの部屋は統合して共同のダイニングと風呂を造る。この共同の部屋や屋上、中庭を使ってアパート住民がイベントを企画し、近隣住民と一緒に楽しむことを狙う。荒井さんは「収穫祭や一日限定の駄菓子屋とかを催せるといい」と話す。

 会社設立後、試行的に何回かイベントを開いている。屋上でのバーベキューや古い部屋の雰囲気を生かしたハロウィーンパーティーなど、多いときには七十人が参加し、近所の人からは「若い人が集まってうれしい」と好評だったという。

 中庭の改装費は借り入れではなく、ウェブサイト「FAAVO」で今月二十日まで資金を募っている。二百万円を目標に集め、整地の費用にする。

 既に改装後の四部屋は入居者が決まっており、残りは募集中。荒井さんは「積極的に地域に関わりたいという人に住んでほしい。しぇあひるずが、地域の助け合いの舞台になれば」と話している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報