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【神奈川】

断て貧困の連鎖 養護施設出身者の学業支援、女子学生向け下宿開設

女子学生を受け入れる部屋を見せる伊藤理事長(左)とスタッフの橋本絵穂(えみほ)さん。部屋はさらに改修する=横浜市内で

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 児童養護施設を退所し、慣れない一人暮らしを始める学生を支援するため、横浜市瀬谷区のNPO法人「さくらんぼ」が4月、施設出身の女子学生専用の下宿を開設する。現状でも退所後の支援施設や制度はあるが、生活が一定程度管理されることが多い。法人の伊藤保子理事長(63)は「私たちが後ろで見守るから、学生らしい自由な生活を送ってほしい」と話している。 (志村彰太)

 親の虐待などで養護施設に入所した子どもは原則として十八歳で退所するが、親元に戻るケースはほとんどない。進学すると入所期間を延長できるほか、退所後も独り立ちまでしばらく暮らせる自立援助ホームがあるものの、門限や生活の規則が設定されていることが多いという。

 一人暮らしを選ぶ場合、国による家賃や生活費の貸付制度もあり、就職して五年間働き続ければ返済が免除になる。ただ、市こども家庭課の担当者は「守られた施設での生活から急に一人暮らしするのは、金銭管理や料理などができずに生活を成り立たせるのが難しい。金銭的に続かず、退学してアルバイト生活になることもある」と課題を語る。

 実際、厚生労働省の調べによると、全国的には高卒者の大学などへの進学率が七割なのに対し、養護施設出身者は二割にとどまり、多くが就職を選ぶ。市によると、進学しても中退する割合も高めだという。

 伊藤さんは「施設でも一人暮らしでもない、中間的な施設が必要だ」と考えた。入居者を女性に限定する背景には、伊藤さんのこれまでの経験がある。法人として市内で保育所などを運営する中で、困窮する多くの母子家庭を見てきた。伊藤さんは「貧困の連鎖を防ぐためにも、学習意欲を持ち続けて大学や専門学校を卒業してほしい」と話す。

 既に横浜市西部に物件は確保済みで、内装を改修して現在、入居者を募集している。定員は三人で、風呂と台所は共用。利用料は月四万円とし、公的な貸付制度やアルバイト収入の範囲内で収まるようにする。防犯設備も設置する。禁煙、男子禁制以外は決まりをつくらず、「社会人になるまでの猶予期間の学生らしく、自由な生活を味わってほしい」と伊藤さん。

 入居期間は大学などを卒業するまで。一人暮らしに慣れてもらうのが目的。「帰る場所があると感じてほしい」との思いから、休日にはイベントを開いて伊藤さんら法人スタッフと交流を深めるようにするほか、生活の相談にも応じる。

 四月二十七日まで、改装費の一部をクラウドファンディングのインターネットサイト「FAAVO」で募集している。目標額に掲げる二百万円は集まったが、超過分は改装の充実に使うという。伊藤さんは「広く資金を募って社会全体で子どもを支える意義を強調したい」と話した。

 

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