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【神奈川】

<元気人@かながわ>捜査支える「職人」 県警鑑識課課長代理 光用泉さん(65歳)

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 県警に事務職員として採用されてから四十年以上、鑑識課一筋。容疑者を確保するといった華々しい仕事の経験はないが、捜査を地道に支えてきた。鑑定件数は三千件を超え、警察庁が指定する広域技能指導官として他県警の鑑識課員の指導もしている。

 経験値の高さもさることながら、全国警察で県警が唯一導入している「3D痕跡鑑定装置」の使い手として知られる。カメラとコンピューターが一体となったこの装置で、現場に残された微細な痕跡を鑑定する。

 細かい痕跡は、見た目だけで容疑者の所有物などに結び付くものばかりではない。装置を使えば、痕跡に当たる光の角度をパソコン上で操作したり、凹凸をグラフ化したりできる。導入により「(昔は難しかった鑑定も)人間の目や感覚に頼らず、より精密にできるようになった」。

 今の裁判では物証が以前より重要視されるようになり、話を聞いた全国の警察や検察庁から指名され、鑑定の依頼が来る。

 二年前には、こんなこともあった。ある他県警から市販のおにぎりに混入された異物の鑑定を依頼された。調べてみると、実際は届けた人の歯の詰め物だった。歯型と詰め物の凹凸が一致するとの鑑定書をつくり、騒ぎは一件落着した。結果的に笑い話となったが、立体的に調べられる強みが生きた事例だった。

 今ではエキスパートとして鳴るが、もとは県職員として採用され、県警に配属されることは「思いもよらなかった」という。それがやっていくうちに、「採集した物が証拠と言えるのか、鑑定で白黒がはっきりする」ことに引き込まれていったという。

 いくら機械が進化しても、正確かつ早く鑑定できるかは、採集物のどこを装置にかければよいのかを見抜く人の力量にかかっている。そこに長年培った経験と知識が生かされる。

 五年前には定年を迎えたが、経験を買われ再任用された。今年四月からは非常勤として勤める。「長い間続けて、見えなかったものが見えるようになった。将来はもっとよい方法が開発されると思う」。後進が自分の「職人技」を受け継ぎ、発展させてくれるはず−。そんな期待を胸に指導にあたる。 (宮畑譲)

◆私の履歴書

1951年 川崎市生まれ

 75年 県警に事務職員として採用。鑑識課に配属

2004年 広域技能指導官に指定される

 12年 定年後も再任用される

今年4月から非常勤で後進の育成にあたる     

 

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