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【神奈川】

「平和国家」目指した北条氏 小田原城 歴史作家・伊東さん講演

伊東さんの講演会=小田原市で

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 戦国大名北条氏の著作が多い横浜市出身の歴史作家、伊東潤さん(56)が一日、小田原市の小田原城で「北条氏の実像に迫る」と題して講演し、百二十人が耳を傾けた。

 乱世の梟雄(きょうゆう)などと誤解されてきた初代北条早雲について、伊東さんは「万民に平等で、平和な独立国家を関東に築こうとした真の革命家」と、近年の定説に基づく実像を紹介した。

 武力で支配する織田信長の天下布武に対し、北条氏は領民の財産と生命を守る禄寿応穏(ろくじゅおうおん)を当主印とし、村落を直接統治。農民が土豪らに中間搾取されるのを防ぐ制度や税率を定め、減税もした。

 伊東さんは、北条氏の関東分権思想の背景に(1)応仁の乱や腐敗した上方政権への嫌悪(2)平将門や鎌倉幕府の武家政権回帰願望−を挙げ、北条五代は自給自足の独立経済圏と、百余りの支城網による専守防衛政権を目指したと解説した。

 他の戦国大名にも触れ、「武田信玄は侵略による欲心に訴えて人心を束ねた」と分析。正義のイメージが強い上杉謙信には「貿易でもうけているため領土的野心はなかった」とする半面、「農民より室町幕府の秩序維持を優先。関東出兵時に北関東の農民は略奪され、迷惑した」と話した。

 伊東さんは「世界にナショナリズムとポピュリズムが台頭する今、民主主義を再評価する上でも、禄寿応穏の理念と政策で人心を束ねた北条氏に注目してほしい」と訴えた。 (西岡聖雄)

 

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