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【神奈川】

「多世代」「多国籍」集う場に 古民家改修の「カサコ」が1周年

「カサコ」1周年パーティーで地域住民やイタリア人留学生(右)らと思い出を語る加藤功甫さん(左)=西区で

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 横浜市西区の住宅街にある古民家を改修した交流スペース「CASACO(カサコ)」が1周年を迎えた。1階は地域の憩いの場、2階は外国人留学生のホームステイ先になっており「多世代」「多国籍」の人々でにぎわう。世界60カ国を旅したNPO法人「コネクション・オブ・ザ・チルドレン」代表、加藤功甫(こうすけ)さん(28)が「多様な背景を持つ人々が集う場に」と開設した。 (加藤豊大)

 四月、地域住民らを集めてカサコで開かれた一周年記念パーティー。近所に住む杉本祐美子さんは、カサコに出入りするうちにトルコからの留学生と仲良くなり、中学、高校生の娘二人とともに一緒に野球観戦に行ったという。「近所で思いがけない出会いがあった」と喜ぶ。

 加藤さんは横浜国立大学大学院進学後の二〇一一年、「さまざまな価値観に触れたい」と、友人と二人でユーラシア大陸を横断する自転車の旅に。ポルトガルから上海まで、三十カ国二万キロを一年かけ走破した。

 「旅先では、見ず知らずの自分を家族のように受け入れてくれた」。カザフスタンの砂漠で食料を切らしたとき、現地の人から水や食べ物を受け取った。店先で居合わせた人と意気投合、家に泊まらせてもらったことは数え切れない。

 帰国後、日本を訪れる世界中の友人や旅人を招いて恩返ししようと、野毛山動物園(横浜市西区)近くの住宅街にある築六十年以上の古民家を借りた。餅つきや運動会など、地区の町内会行事にも参加しているうち「旅人や地域の人たちが家族のように結び付く場を作りたい」と思うように。古民家を改修してカサコを開設しようと思い立った。

 近所の建築事務所「トミト・アーキテクチャ」が設計を担当。共同代表の伊藤孝仁(たかひと)さん(29)は「立ち寄りやすく、くつろげる空間を目指した」と話す。通りに面した一階壁面は中の様子が見えるよう一面ガラス扉にし、二階の床を一部抜いて開放感のある吹き抜けを作った。市民の街づくり事業を支援する横浜市の助成金も得て、昨年四月に完成した。

 カサコは加藤さんや伊藤さんをはじめ「旅」「建築」「街づくり」といったキーワードで結び付いた七人の仲間で運営している。一階部分の使い方はさまざま。地域住民らが日替わりオーナーを務めるカフェや子育て中の母親たちの集いの場、放課後の子どもたちの居場所などとして、月に十五回ほど開かれている。

 四部屋ある二階には、イタリアやスイス、デンマークなどからの留学生計十人ほどが、この一年間で入れ替わり居住。彼らと地域住民との交流も活発だ。留学生が母国の食事をふるまったり、二月の節分には子どもたちから豆を投げられる鬼役になったり。カサコを去るとなると、住民が集まって別れを惜しみながら送り出す。

 加藤さんは現在、「自分で考え生きる力」を教えたいと、旅の経験をもとに県内外で講演会や小中学校への出前授業を重ねる。「子どもたちや地域の人たちに世界に目を向け視野を広げてもらい、海外の人たちには観光だけではなく深く日本や日本人のことを知ってもらいたい。カサコをその実践の場にしていけたら」と語る。

 

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