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【神奈川】

障害者の就職 増加中 市とNPO 体験事業開始から3年

事務用品会社と電話で連絡を取る岩沢直樹さん=東京都中野区で

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 障害者などマイノリティーが暮らしやすい社会づくりを目指すNPO法人ピープルデザイン研究所(東京都渋谷区)が、二〇一四年八月に川崎市と障害者の就労体験事業を始めて丸三年。体験に参加して働く意欲を高め、正規就労に結び付く事例が増えている。 (小形佳奈)

 事業は、市内のスポーツチームや企業の協力で、就労を目指す障害者がイベントでのスタッフ業務を体験できるというもの。昨年度は十七企画、四十八回の就労体験に延べ四百八十六人が参加し、五十九人が一般企業に就職した。二〇一五年度は参加者延べ四百三十八人に対し就職は十人だった。

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 高津区の岩沢直樹さん(33)は、手芸関連の出版社「日本ヴォーグ社」=東京都中野区=の人事総務課で四月から働く。社内で使う文房具の在庫管理や郵便物の配布といった業務にあたる。

 小学生のころから忘れ物が多く、集中力が続かなかった。神奈川県内の私大を卒業後、職を転々とした。どこでも人間関係につまずき、仕事の手順を覚えられない、突発的な事態に対応できないといった壁に突き当たった。母親の勧めで受診した一昨年夏、発達障害と診断された。

 昨年五月から就労移行支援サービス事業所でパソコン操作などの訓練を受けた。就労体験事業では、十月の「カワサキハロウィン」で仮装行列の最後尾についてごみ拾いをした。「同じ仕事をする人と連携する大事さが分かり、観客にも『ごみありますか』と呼び掛けることができた」

 現在の上司の谷中美香さん(44)は「仕事の手が空いた時に『何かやることは』と聞いてくれる。就労体験で知らない人とコミュニケーションが取れる一歩を踏み出せたのが良かったのでは」と話す。

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 幸区の梅寺孝さん(35)は、ごみ焼却場の運転管理を担う「Hitz環境サービス」=川崎区=の事務職として働く。全国の焼却場から上がってくる週報の取りまとめや、契約書のファイリングといった業務をこなす。

 五年前の夏、脊髄小脳変性症と診断された。二年前に同じ病気で母を亡くしている。足元がふらつく、話す時に舌がもつれるなどの症状があり、前職の不動産会社では電話応対がこなせず、物件の内覧同行もできなくなり、退職した。

 昨年十月に正社員として採用された現在の職場では、コピー機の隣に席を割り当ててもらい、キャスター付きの椅子を活用し、円滑に業務をこなしている。

 就労体験事業には昨年五月に参加。富士通スタジアム川崎で行われたアメリカンフットボールの試合で観客誘導やごみ回収を担当した。観客席が階段状で、転倒を心配したが、スタッフの配慮で平行移動できるエリアを担当した。「周囲のサポートを受けて働く生き方もあるんだ」と心強く感じたという。

 

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