東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

<水辺の風景 2017 夏 かわさき>江川せせらぎ遊歩道 復活した自然、ふるさとに

灯ろう流しキットを作成する竹村さん=川崎市中原区で

写真

 夕闇の中をたゆたう光。子どもたちが思い思いに彩色し、願い事を書いた灯籠をそっと流れに乗せる。

 川崎市中原区と高津区の境にある「江川せせらぎ遊歩道」の晩夏の風物詩となった「灯ろう流し」が二十日に行われる。市民グループ「森とせせらぎネットワーク」が主催する。

 江川は、かつて農業用水として田畑を潤した。だが宅地化が進み、下水道が整備されたため、川としての役目を終えると「コンクリートの水路に、臭い水がちょろちょろ流れるどぶ川になった」。せせらぎネットの田辺勝義事務局長(68)は一九八〇年代ごろの江川をこう振り返る。一方で地面から土がなくなり保水力を失ったことなどで、大雨が降ると一気に水路に水が流れ込み、あふれることもあったという。

 遊歩道や植栽などを整備し、等々力水処理センターの高度処理水を流すという市の計画が持ち上がると、田辺さんらは他都市の親水公園や緑道を見学し、水路沿いのトイレ設置などを川崎市に要請するなど、協働して計画を具体化した。

水の中の生き物を探す子どもたちの姿も=江川せせらぎ遊歩道で

写真

 二〇〇三年に完成した遊歩道(長さ二・四キロ)は「ふれあい広場」「清流の道」などにゾーニングされた。サクラ、フジなど四季の花が咲き、コイ、フナなどの魚、初夏にはカルガモの親子が泳ぐ。魚取りやザリガニ釣りを楽しむ子どもたちの姿も。

 せせらぎネットは、夏の七夕、秋の「森とせせらぎ祭り」などの行事を企画。管理棟でも絵手紙や写真の展示会を開いて、人を呼び込もうと知恵を絞る。「都会に復活した自然を子どもたちのふるさとにしたい」と田辺さん。

 灯ろう流しの準備を中心となって進める竹村トシ子さん(80)には、行事への特別な思いがある。小学二年の夏、疎開先の千葉県船橋市で、学校帰りに機銃掃射に遭った。攻撃音がやみ、伏せていた地面から顔を上げると、一緒に歩いていた友達の多くが亡くなっていた。「でももう、誰が死んだかも覚えていないの」。戦死者の霊を慰める灯籠を川面に浮かべる時代には二度とならぬよう、願いを込める。 (小形佳奈)

     ◇

写真

 遊歩道の上流側の起点は、JR南武線武蔵新城駅南口から徒歩五分。中原区井田一丁目で矢上川と合流する。灯ろう流しは二十日午後六時から小関橋跡周辺で。十三日午後四時〜六時、会場近くのあずまやで、メンバーが和紙や木の板で手作りした灯籠キットを一組三百円で販売する。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報



ピックアップ
Recommended by