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【神奈川】

一人でも多く遺族のもとへ 身元不明遺体の似顔絵公開

「一人でも多くの遺体を関係者に帰したい」と語る今村さん=中区の県警本部で

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 身元が分からない遺体の特定を進めようと県警は今月から、生前の顔を再現した似顔絵をホームページで公開している。東日本大震災後、遺体の引き取り手を探すのに岩手、宮城、福島の三県警が作成した似顔絵が役に立ったことを知った鑑識課の女性職員が発案した。「一人でも多くの遺体を家族ら関係者のもとに帰してあげたい」と、担当者は似顔絵作成に励む。 (加藤豊大)

 同課によると、神奈川県内で捜査を進めても身元が分からない遺体は年間五十〜六十体、累計では七百七十体以上に及ぶ。これまでも発見時の衣服や所持品を公開していたが、それだけで個人を特定するのは難しく、家族らが名乗り出るのは年間五、六件ほどに限られる。

 そうした中、三県警が作成した遺体の似顔絵が身元確認の大きな助けになったことを報道で知った主事の今村公子(きみこ)さん(23)が、同様の取り組みができないか提案。先輩係員二人と一緒に、業務の空き時間を見つけて似顔絵を描くようになった。

 今村さんは特技の絵を捜査に役立てたいと県警内の公募制度を利用し、四月に鑑識課に異動したばかり。幼い頃から絵を描くのが好きで、県警に入ってからは同僚が異動する際、似顔絵をプレゼントしていた。四月以降、先輩係員や他県警の似顔絵の技能指導官らに研修を受けるなどし、本格的に技術を学んだ。

 似顔絵は遺体の写真を基に、八色の色鉛筆を使って半日〜三日ほどかけて描く。「いかに生前の生き生きした姿を想像し、特徴を再現できるかが重要」という。写真では閉じていることが多い目は、しわを観察して大きさや一重か二重かを推定する。「輪郭は死後、特に変わりやすい」として、腫れやたるみといった変化を差し引いて表現する。

 今村さんは「遺体で発見された人たちにはそれぞれ人生があり、待っている家族や知り合いもいるはず。何とか帰してあげたいと、一人一人願いを込めて描いている」と語った。

 ◇ 

 似顔絵を見るには、県警のウェブサイトの「相談・苦情・ご意見」のコーナーから「身元不明遺体相談」のページにアクセスする。似顔絵は顔が分かりやすい状態で見つかった遺体を優先して描き、順次公開するものを増やしていく。

 

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