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【神奈川】

芸術の粋、江之浦に 異色の複合アート施設が来月オープン

冬至の朝日を浴びる光学硝子舞台=小田原市で(小田原文化財団提供)

写真

 世界的に有名な現代美術作家の杉本博司さん(69)が手掛けた複合アート施設が十月九日、小田原市江之浦にオープンする。野外舞台やギャラリー、茶室、庭園を備え、芸術作品や芸能を披露する。施設全体を芸術と捉え、古代の建築物のように太陽光の入射方向や角度を計算して設計した。

 米国在住の杉本さんは、意識の起源など哲学的なテーマで写真を中心に幅広く活動している。幼少期、熱海から小田原に向かう列車の車窓から見た江之浦の水平線が創作の原点となり、代表作「海景シリーズ」を生んだ。影響を受けた古今東西の芸術を江之浦に集大成しようと、十年の構想を経て建設した。

 夏至や冬至、春分、秋分の太陽光を作品に取り込み、施設を「江之浦測候所」と名付けた。ミカン畑だった起伏に富んだ敷地は九千五百平方メートル。石舞台や門を含め、鑑賞ポイントは三十以上という。

 プリズム光を放つガラスを敷いた野外の「光学硝子(こうがくがらす)舞台」の中央には冬至の日、朝日が光の線を引く。山側に設けた客席(百九十席)は古代ローマの円形劇場遺跡の石の座席を実測し、原寸大に仕上げた。

 舞台に平行して造った「冬至光遥拝隧道(ずいどう)」(七十メートル)も冬至の朝、トンネルを直進する光が庭園の巨石を照らす。日照が一年で最も短い冬至を、死と新たな命が再生する節目とみなし、人類の最も古い記憶と考えて制作した。

 見学は予約制で、杉本さんが創設し、施設を運営する小田原文化財団のウェブサイトから申し込む。入館料は三千円。小学生以下は入館できない。問い合わせは財団=電0465(42)9170(平日)=へ。 (西岡聖雄)

 

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