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【神奈川】

<元気人@かながわ> 横浜で教室主宰のジャズピアニスト・幡野友香さん(46歳)

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 「『上を向いて歩こう』を演奏すると、認知症のおばあちゃんも歌詞を覚えていて歌ってくれるんです。音楽で人が元気になるのを目の前で見られて、やりがいを感じています」

 横浜市青葉区で音楽教室「音気楽(おきらく)工房」を主宰。「音楽を始める敷居を低くしたい」と、誰もが参加できるセッションを企画したり、初心者用に楽譜の読み方を解説する本を出したりする。六月からは教室の生徒の紹介で、海老名市の脳神経外科病院のリハビリ室で公演をするようになった。

■夢絶たれ母と涙

 順風満帆な音楽家人生だったわけではない。三歳でクラシックピアノを始め、小学三年になるとクラシック曲集をすらすらと弾けるようになった。ところが先生に現実を突き付けられる。「手が小さいからピアノを専門的に続けていくのは厳しい」。夢を絶たれ母と二人、泣きながら帰った。

 それでも「音楽をやめたくない」と名門・桐朋学園大の付属高校に進学。音楽を続けていく手段としてクラリネットを選んだ。そのまま同大に入るも「好きで始めたわけではないから練習に身が入らない。ジャズやブラジル音楽の先生と交流していました」。

■伝わりやすく

 自身が変わるきっかけは大学三年の時。コンサートで母に「よく分からなかった」と言われた。「一番近い聴き手に理解してもらえなかったことにがくぜんとした。人に伝わりやすい音楽をやりたいと思った」

 大学四年になるとビアホールでアルバイトを始め、あらゆるジャンルの曲を演奏。「自分は飽き性で、型にはまったものはつまらないと感じる性格。表現の幅を広げられるジャズが合っている」と感じた。

 卒業後の一九九六年、クラリネットで生きていくか悩んでいた時、ジャズ教室でピアノ調律師の鈴木康弘さん(65)と出会う。後に夫となる鈴木さんの演奏を聴き、「ジャズピアノ独特の和音が心に響いた」とジャズピアニストを志した。

 「音楽を分かりやすく広げていきたい」との思いでも意気投合し、九七年に二人で音気楽工房を開いた。二十周年を迎え講師は十五人、三歳から八十代まで約二百人の生徒がいる。

 「音楽が『音が苦(おんがく)』になるのは悲しい。競わず、型にはめず、心から楽器や歌を楽しめる教室で、一人でも多く音楽ファンを増やしていきたい」と語った。

 教室の問い合わせは同工房=電045(913)8095=へ。 (鈴木弘人)

◆私の履歴書

1971年 東京都多摩市で生まれる

 74年 ピアノを習い始める

 84年 クラリネットを専門にする

 87年 桐朋学園大クラリネット科に入学

 97年 「音気楽工房」をつくり、音楽教室を開講

2017年 海老名市の脳神経外科病院で公演を開始

 

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