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【神奈川】

<衆院選>「米軍」「北」…住民思い交錯 横須賀 高まる安全保障への関心

貨物船などが頻繁に行き交う浦賀水道=横須賀市で

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 北朝鮮のミサイル発射が相次ぎ、衆院選の争点の一つにもなっている安全保障への関心が高まっている。朝鮮半島情勢に対応する日米の艦船が多く寄港する横須賀市では、基地反対派が「米軍の存在が地域の安全を脅かしかねない」と主張。その一方で「北朝鮮の方が怖い」との声も漏れ、基地の街に暮らす住民の複雑な思いが交錯している。 (福田真悟)

 巨大なコンテナ船やタンカーが、海上に次々と現れる。太平洋から東京湾につながる浦賀水道。一日平均約四百五十隻が往来する過密な航路だ。米海軍横須賀基地、海上自衛隊の艦船も使う。

 海上保安庁によると、昨年までの十年間、浦賀水道で船同士の衝突事故が五件起きた。米海軍の艦船や自衛艦の事故はないものの、今年に入り、横須賀基地を拠点にする第七艦隊に所属するイージス艦の事故が続発している。一月に横須賀湾で座礁し、六、八月には伊豆沖とマラッカ海峡東方でコンテナ船などと衝突。乗組員計十七人が死亡し、幹部が相次いで更迭される事態になっている。

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 「原子力空母の事故が起きれば大変なことになりかねない」。基地に反対する市民団体などは危機感を訴える。ただ、海保の担当者は「最高速度などのルールは米軍にも適用される。イージス艦の事故を受けた対策は特に取っていない」と説明。地元の漁協関係者も「他の大型船と比べて米艦が危険だと感じたことはない」と淡々と話す。

 そうしたリスクより、北朝鮮の脅威を深刻に捉える住民もいる。今月一日、市内の公園で開かれた原子力空母の配備に反対する集会。参加者が「空母の母港化撤回を」と声高に叫ぶ横で、孫と遊んでいた男性(70)は「空母の安全対策はしっかりやってほしい。だけど今はミサイルの方が怖い」。歯科衛生士の女性(22)も「基地があるから狙われるという話もある。米軍が守ってくれると期待したい」と慎重な口ぶりで語った。

 選挙戦では、北朝鮮への「圧力」と「対話」のどちらを重視するかや、安全保障法制の賛否などが盛んに取り上げられる。その中で、基地がある街の住民の安全や、任務に当たる自衛官、米兵らの命という観点は薄れがちだ。

 四十年以上、基地のない街を目指して月例デモを続けている「非核市民宣言運動・ヨコスカ」の新倉裕史さん(69)は思う。「軍事衝突があれば、直接矢面に立つのは誰か。兵隊のことや、私たち住民の不安も踏まえて議論してほしい」

 

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