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【神奈川】

シカの角こすり 苗木を守ろう 箱根山地「何もしないと丹沢のように」

苗木の周りに打ち込んだ竹にひもを通す高木さん親子=小田原市で

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 箱根町と小田原、南足柄両市にまたがる箱根山地でニホンジカの食害が増え、NPO法人「小田原山盛の会」は小田原市久野の植林地で、ヒノキやスギの苗を竹で囲う保護活動を始めた。侵入を防ぐ柵設置の予算がなく、当面は応急策でしのぐことにした。(西岡聖雄)

 植林地は十一ヘクタールあり、箱根山地の東部斜面に広がる。二〇一四年以降に植えた一万五千本の一割以上で、雄が角を研ぐ「角こすり」や食害が確認された。

 角こすりで樹皮がはがれると、栄養や水分が木の上部へ届かなくなるだけでなく、木を腐らせる菌が入り枯死する。その結果、シカの活動域は裸地化が進み、大雨のたびに土壌が流出するようになる。シカによる深刻な被害は半世紀前に丹沢山地で表面化し、県の担当者は「数十年単位では回復しないだろう」と話す。

 箱根と周辺地域では一九八〇年代からシカが目撃されるようになった。DNA型から丹沢や伊豆方面の個体とみられ、シダなどにも被害が出ている。

 山盛の会は三年前から、丹沢大山学術調査団の副団長を務めたシカの専門家で、元東京農工大助教授の古林賢恒(けんごう)さん(75)と百回近く現地を調査。五日はボランティアの市民四十五人が、古林さんが考案した方法を五百本の苗木で実践した。

 長さ一・五メートルの割竹四枚を苗木の周りに木づちで打ち込み、横にひもを通す。枝葉は食べられても角こすりは防げる仕組みだ。地元の木材販売業高木大輔さん(45)は「森を守る大切さを体験で伝えたい」と次男庵(いおり)君(8つ)と汗を流した。

 ただ、これはあくまで応急措置。小田原市森林組合は柵設置に向け、行政と話し合う予定で「丹沢に比べ被害は限定的」とみている県も、本年度から柵の設置区域を箱根山地に広げ、実態把握や対策に乗り出す。

 「シカはほとんどの植物を食べるため、希少植物の保護も必要」と山盛の会副理事長の川島範子さん(59)。古林さんは「シカは徐々に増えた後、爆発的に増える。個体数が低密度の時期に柵で封じ、捕獲もしないと十年後には丹沢のようになる」と警鐘を鳴らした。

 

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