東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

横浜市立大の病院 がん疑い患者放置 電子処理システムの盲点浮き彫り 

記者会見で陳謝する後藤隆久院長(左)ら=市役所で

写真

 横浜市南区の市立大付属市民総合医療センターで、がんの疑いを示す情報が五カ月間放置され患者が死亡した問題は、電子処理システムに潜む盲点を浮き彫りにした。専門家は「重大な病変を見つけたら、電話で直接連絡するなど、人間同士のコミュニケーションを大事にすべきだ」と警鐘を鳴らす。 (梅野光春)

 亡くなったのは、コンピューター断層撮影(CT)検査を受けた七十代の男性患者。膵臓(すいぞう)の膨張に気付いた医師は今年一月、「膵臓がんの疑い」とする画像診断書を電子システムを通じて主治医に送った。

 しかし、主治医が画像診断書を読んだのは六月だった。男性患者が別の病院で膵臓がんと指摘されたため、過去のデータを点検して気付いた。既に手術できないほどがんが進行しており、男性患者は死亡した。

 「早く対応すれば、がんを切除できた。チェック不足だった」。先月三十日の会見で、医療センターの後藤隆久院長は陳謝した。

 医療事故に詳しい京都府立医科大付属病院の佐和貞治医療安全管理部長は「医療システムの電子化が進んだ二〇〇〇年以降、同じような問題はあちこちで起きている」と明かす。

 佐和部長によると、「がんの疑い」などの重要情報を目立たせたり、未読を防いだりする仕組みは、電子システムにもともと盛り込まれていないという。「たとえば郵便なら書留で、大事な現金が届いたと確認できる。しかし病院の電子システムのやりとりでは、おろそかになっている」と続けた。

 問題を起こした医療センターは、電子システム上の画像診断書を印刷して主治医に届けるよう改善した。

 今回の問題はほかの医療現場でも深刻に受け止められている。県立足柄上病院(松田町)は、来年二月に稼働予定の電子カルテシステムに、未読の画像診断書にはアラームで知らせる機能を追加する検討を始めた。

 二〇一二年以降、六人分の画像診断書を放置し、三人が死亡した東京慈恵会医大病院(東京都港区)も、画像診断書の未読をチェックする人員を配置するのに加え、患者に画像診断書のコピーを渡して、主治医に疑問をぶつけられる再発防止策を検討中だ。

 佐和部長は「今のところ電子システムだけでヒューマンエラーを防ぐのは難しい。医師は、システムの足りないところを補完する意識をもたなければならない」と話す。

 ラベルが似ている間違えやすい薬同士を近くに置かないなど、ヒヤリ・ハット体験からミスを防ぐ医療施設は多い。電子システムの分野でも、機能強化に加えヒヤリ・ハット情報を蓄積、共有する取り組みを広げてほしい。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報