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【神奈川】

メリーさん輝き再び 映画、本が人気

映画「ヨコハマメリー」の一場面(c)MoriHideo

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 真っ白な白粉を塗り、純白のドレスを身に着けて横浜の街を歩いていた娼婦(しょうふ)「ハマのメリーさん」が、再び脚光を浴びている。中村高寛(たかゆき)監督(42)の初ドキュメンタリー映画「ヨコハマメリー」のリバイバル上映が市内の映画館で続き、同作の取材過程を記した本の売れ行きも好調だ。中村監督は「メリーさんは戦後横浜を思い出させる象徴。彼女を通じて、横浜が歩んできた歴史を知ってもらえたら」と話す。 (鈴木弘人)

 「ベンチに白い物体があると思って見ていたら、動いて驚いた。皆が知っている変わったおばあちゃんだった」。中学時代に横浜市金沢区に住んでいた中村さんは、メリーさんを初めて見た時のことを話す。

 メリーさんは街にいる「近寄りがたい存在」だったという。「米雑誌LIFEの表紙になったことがある」「本当はお金持ち」「女装している」−。根拠のないうわさが、全身真っ白で少し妖しげな雰囲気を漂わせるメリーさんについて回っていた。

 一九六〇年代から関内や伊勢佐木町などにいたメリーさんは九五年に姿を消した。「いなくなったことで興味が湧いてきた。街の有名人なのに、どんな人なのかは誰も知らない」と、準備期間を経て九九年に撮影を始めた。

 インタビューを重ねていくと、彼女を取り巻く横浜の人々に興味が移っていった。米軍施設が多く残っていた戦後、米兵を相手にした娼婦が多くいた。「街の人たちは、メリーさんがいた清濁併せ持つ時代を語り出す。横浜の戦後の記憶を思い出させる存在だった」

 映画は二〇〇六年に劇場公開され、横浜文化賞文化・芸術奨励賞や文化庁文化記録映画部門優秀賞などを受賞。観客動員数は十万人を超え、興行収入も一億円を上回る、ドキュメンタリー映画では異例の大ヒットとなった。

 「いま振り返ると、『撮らされてしまった映画』だと感じる。メリーさんと関わりのある出演者の中に自分もいて、気が付いたら映像を撮っていたような不思議な感覚でした」

 著作の「ヨコハマメリー−かつて白化粧の老娼婦がいた」(河出書房新社)は八月に出版され、増刷を重ねて現在の発行は五千六百部。中村さんが映画を完成させる過程を一人称形式で記し「自分をさらけ出した」。開港からの横浜の風俗史を解説する章も設けた。

 「横浜を見つめていくと、日本の開国からの歴史が見えてくるというのが持論。これからも横浜を中心に映画を作っていきたい」と語る。

 本は有隣堂など主要書店で販売中。税抜き二千二百円。映画「ヨコハマメリー」は十八〜二十四日に横浜ニューテアトル=電045(261)2995、二十五日〜十二月八日に横浜シネマリン=電045(341)3180=で上映される。

 

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