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【神奈川】

<はぐるま稗原農園 四季折々>わくわく交流 収穫祭 住民ら 会場づくり、歌、太鼓

サツマイモ掘り体験をする家族連れ=川崎市宮前区のはぐるま稗原農園で

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 真っ青に広がる空の下、子どもの頭の大きさくらいあるサツマイモを掘り出した親子連れが笑顔を見せる。ステージで演奏される笛や太鼓の音が響き、畑で取れたばかりの野菜、飲食ブースのピザや焼きそばが飛ぶように売れていく。

 知的障害のある人たちが農作物を育てて販売し、収入を得ている「はぐるま稗原(ひえばら)農園」(川崎市宮前区)。社会福祉法人「はぐるまの会」が運営する。十一月三日、ここで収穫祭が行われ、地元の住民らが訪れた。

 開催には地域の支えが欠かせない。畑をならし、会場を設営したのは、近隣住民や利用者の家族で構成される「はぐるま農園サポーターズ」をはじめとするボランティアたち。地元の青年会に所属する職人たちの応援でステージが組み立てられ、会場全体の装飾には地域の若い母親たちのグループが名乗りを上げてくれた。

 サポーターズをまとめる松井隆一さん(75)=同区=は、青果店とスーパーマーケットの元経営者で、野菜の栽培法や流通に詳しい。収穫した野菜の包装や価格設定を法人職員に指導することもある。「利用者の成長に喜びを感じる。土に触れて精神的に豊かになれるのもいい」

 今年で五回目となる収穫祭を発案したのは、区内の農家小泉博司さん(40)と多摩区のフランス料理店シェフ菊池猛さん(40)。

 農福連携に興味を持ち、自分の店ではぐるまの野菜を使っていた菊池さんが、法人職員の福田真さん(41)に企画を持ち掛けた。菊池さんと小泉さんは、小泉さんの農園で採れた野菜を使った料理や音楽を楽しむ「農園フェス」を開いており、そのノウハウも生かされた。

 畑や併設するグループホームなどのオーナーは、当初から設備や財政面でも全面的に応援をしてくれたが、法人側は経験のない大規模なイベントの開催に消極的だったため、有志の実行委員会が農園を借りて地域住民と交流会をする形式に落ち着いた。

 「働く場が暮らす場に」との思いから、福田さんたちは地域に溶け込もうと、利用者と祭りに参加してみこしを担ぐなど、町内会活動にも積極的に参加してきた。収穫祭の認知度も上がり、一昨年は初めて黒字となった。ステージでは老人クラブのコーラスや利用者らが太鼓演奏や民謡などの歌声を披露。本年度から、法人も本腰を入れて運営にかかわるようになり、はぐるまの会を代表する近隣住民との交流イベントとして確立されつつある。

 ゼミ生が収穫祭実行委員として関わる田園調布学園大(麻生区)の人間福祉学部社会福祉学科、和(かのう)秀俊講師(社会福祉学)は言う。「施設関係者だけでやる福祉では、共生社会はつくれない。障害のあるなしにかかわらず、多くの人がわくわくできる場づくりが必要。それが魅力ある街づくりにもつながる」

 (小形佳奈)

 

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