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【神奈川】

<元気人@かながわ>医療的ケア児の発達支援に取り組む看護師 村松恵さん(40歳)

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 人工呼吸器を付けたり、チューブを使って胃に栄養を注入したり、医療的ケアを必要とする子どもたちが地域で暮らせる一助になれば、と昨年十月、川崎市麻生区に児童発達支援・放課後等デイサービス事業所「KIDS(キッズ)ゆらりん」がオープンした。そこで管理者・看護師として奮闘する。

 自らも、医療的ケア児の親。長男(5つ)が先天性の咽頭狭窄(きょうさく)のため生後二カ月で気管切開の手術を受けた。当初は肺活量が少なくて五分に一度は苦しそうな音をたて、たんの吸引を必要とした。いつも母子一緒。外出もままならず、砂場遊びなどもさせられない。「暗黒時代だった」。一歳半で落ち着き、頻度は減ったが今も、たんの吸引を必要とする。

■申し込み拒否

 看護職に復職したくて保育園を探すと、申し込みすら拒否された。「医療的ケア児は社会から疎外される」と感じた。長男のため利用していた麻生区の訪問看護ステーションの代表が、一緒に働くよう誘ってくれた。長男が医療的ケアを受けられる幼稚園に入園したのを機に仕事を開始。その後、代表と「医療的ケア児の受け入れは地域の課題」と話し合う中で、KIDSゆらりんを任されることになった。ゆらりんは医療的ケアを行うが、「預かるだけでなく、保育園など地域社会へつなげることが重要」と考えており、小集団での遊びを取り入れて発達を支援する。

■苦しまないで

 利用者のある母親が、ゆらりんで遊ぶ子どもを見て「私でもやっていけるかも」とつぶやいたという。「うれしかった。皆さんに『この子を産んで良かった』と思う瞬間があってほしい。私のように疎外感に苦しまないでほしい」

 放課後デイサービス事業所は各地にあるが、医療的ケアを担う看護師の配置などコストの問題もあり、ゆらりんのような医療的ケア児の受け入れは進みにくいのが現状といえる。医療的ケアの有無が障害者福祉サービスの報酬単価に影響しないためだ。厚生労働省はようやく来春から医療的ケアに対する報酬を加算する方向。

 「私たちは制度を待てずに先駆けて取り組んだ。いくら加算されるか、各地のデイサービスで医療的ケア児の受け入れにつながるか、注目しています」 (山本哲正)

◆私の履歴書

1977年 新潟県十日町市で生まれる

2000年 国立小児病院に入職

 03年 病院統廃合により国立成育医療研究センターに入職

 04年 結婚

 12年 長男が誕生

 13年 長男が気管切開の手術を受ける。医療的ケアが始まる

 15年 長男の幼稚園入園を機に、地元の訪問看護ステーションの看護師に

 16年 「KIDS(キッズ)ゆらりん」開設。管理者に

 

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