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【神奈川】

伊勢原の「大山こま」後世に 足踏みろくろ30年ぶり復元

足踏みろくろで作業をする金子さん=伊勢原市で

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 江戸時代から受け継がれる伊勢原市の伝統工芸品「大山こま」の製作に使われていた足踏みろくろが、約30年ぶりに復元された。大山こまの歴史を多くの人に伝え、後世に残していくのが目的。平均年齢80歳を超えるこま職人と市教育委員会が連携し、伝統継承の道を模索している。 (布施谷航)

 足踏みろくろは、片足ずつペダルを踏んでろくろ部分を回転させ、こまを削ったり色付けしたりする。昭和三十年代まで使われ、電動式の普及とともに現場から姿を消した。その後はイベントで時折披露される程度で、昭和の終わりごろには完全に見ることがなくなった。

 それが今年三月、市が大山こまの製作技術を無形民俗文化財に指定したことで、復元の機運が一気に高まった。市内各地に残っていた部材を集め、五月に一台が組み立てられた。

 背景にあるのは、後継者不足への危機感。昭和三十年代の最盛期には三十人の職人が腕を競い合ったが、今では最高齢の金子貞雄さん(94)をはじめ五人が受け継ぐだけ。最年少でも、金子さんの長男吉延さんの六十八歳。市教委の担当者は「大山こまの歴史を残したいという気持ちで、職人の皆さんと一緒にろくろを組み立てた」と説明する。

 二十五、二十六日に市内で開かれた文化財フェスタの準備のため、二十四日に復元したろくろを回した金子さん。「若い頃みたいにはいかないね」と言いながら、「電動は速さを変えられないが、足踏みは思い通りに回せる。丁寧に色を塗ることもできる」と懐かしそうに話した。

 フェスタでは職人が復元したろくろで作業を実演。大勢の来場者が興味深げに見守り、大盛況に終わった。市教委の担当者は「いずれは、ろくろを回している脇で、こまの色付け体験なども行いたい」と語り、伝統工芸への関心の高まりに期待を寄せた。

<大山こま> 周辺の森林の木材を利用してこま作りが始まり、江戸中期以降、「金運がついて回る」との考えから大山詣(まい)りの参拝客らが縁起物として買い求めるようになった。本体はミズキ、芯にはモミジやカシを使い、赤、青、紫で塗り分ける。大山のふもとの土産物店が並ぶ参道は「こま参道」と呼ばれる。

 

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